メタ認知機能の低下は自身の行動や認知の客観的な評価の不正確さにつながり、適応的行動に必要だと考えられている。外傷性脳損傷患者の不適切な行動や認知はメタ認知能力の低下と関連している可能性がある。本研究では外傷性脳損傷患者はメタ認知機能の低下を示すこと、患者の自己評価は自信過剰な方向に偏っていること、メタ認知能力は臨床的な自己認識評価と相関するが神経心理学的検査とは相関しないこと、左前頭部の損傷がメタ認知能力低下と関連しうることなど、病態理解に貢献する複数の知見を得た。これらは患者のより適切な評価やメタ認知を対象とした新たな介入手法の開発につながる可能性がある。
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