立位における足底への動的触覚刺激が姿勢動揺制御におよぼす影響を検証した。歩行様の動的触覚刺激では、その刺激の移動に一致した左右方向のリズミカルな足圧中心の偏位が観察された。この現象は単に動的刺激を左右に移動させた場合も生じたことから、左右方向の足底への動的触覚刺激は、位相依存的な左右方向身体動揺を誘発すると結論した。歩行開始前に左右方向に動的触覚刺激を与えると、歩行開始時の予測的姿勢制御が弱化した。step timeも動的触覚刺激により延長したことから、予測的姿勢制御の弱化は動的触覚刺激による歩行開始動作の速度低下に起因すると考えた。動的触覚刺激は立位身体動揺を誘発する手段として有用である。
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