研究課題/領域番号 |
20K11188
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三上 幸夫 広島大学, 病院(医), 教授 (80422129)
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研究分担者 |
田島 文博 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00227076)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 学長特命教員(特別顧問) (20191190)
幸田 剣 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20433352)
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40398459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵癌 / 切除可能境界膵癌 / 術前化学療法 / 術前身体機能 / 術前リハビリテーション |
研究実績の概要 |
令和4年度はコロナ禍再拡大のため、前向きRCT研究である「術前化学療法を施行する切除可能境界膵癌患者に対する術前PROリハビリテーションの効果」を検証するための事前研究として、「切除可能境界膵癌に対して術前化学療法を施行した患者の術前身体機能に関する後ろ向き観察研究」を継続することにし、症例を集積して調査を進めた。令和4年度は、広島大学病院で切除術を施行された切除境界型膵癌患者で、術前化学療法を行った21名(男性15名、女性6名)を対象として調査した。電子カルテから術前化学療法前後の握力(kg)と6分間歩行距離(m)、併存疾患を後ろ向きに調査した。統計学的解析は、術前化学療法前後の各項目の比較に対応のあるt検定を用いた。握力(前:27.0±8.0 kg、後:27.5±7.4 kg)と6分間歩行距離(前:456.3±93.8 m、後:485.0±78.7 m)は術前化学療法前後で有意な差を認めなかった。しかし、どちらかが低下した者は7名、どちらも低下したものは5名であり、この12名は共通して、糖尿病、高血圧、脂質異常症を含む高血圧性疾患を併存していた。切除境界型膵癌に対し術前化学療法の有効性が示されている一方で、身体活動量の減少に伴う身体機能低下が危惧される。本研究結果からも、患者の併存疾患を考慮し、術前化学療法中のリハビリテーション治療により身体機能を維持する必要性が示唆された。尚、本研究内容は第6回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度には「術前化学療法を施行する切除可能境界膵癌患者に対する術前PROリハビリテーションの効果」に関するRCTを施行する予定であった。しかし、コロナ禍が再拡大し、COVID-19感染対策や患者参加拒否のため、十分な対象患者数を確保することが困難となった。そこで、令和3年度に行った「切除可能境界膵癌に対して術前化学療法を施行した患者の術前身体機能に関する後ろ向き観察研究」を継続することにし、広島大学病院での症例を集積して後ろ向きに調査を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍のため、研究期間を1年延長し、令和5年度末までとした。令和5年度はコロナ禍中の令和3年度、令和4年度に施行した、前向きRCT研究の基となる「切除可能境界膵癌に対して術前化学療法を施行した患者の術前身体機能に関する後ろ向き観察研究」の症例をまとめ、国際学会で発表し、英語論文としてまとめる。 また、コロナ禍も収束に向かっているため、感染対策を徹底し「術前化学療法を施行する切除可能境界膵癌患者に対する術前PROリハビリテーションの効果」に関する前向きRCT研究も速やかに進め、令和5年度内には研究結果を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度もコロナ禍の再拡大のため、切除可能境界膵癌に対して術前化学療法を施行した症例の確保に難渋した。また、国内学術集会もハイブリッド型開催となり、国外学術集会への参加は認められず見送った。コロナ禍により研究計画を1年延長したため、令和5年度は「切除可能境界膵癌に対して術前化学療法を施行した患者の術前身体機能に関する後ろ向き観察研究」の症例をまとめ、国際学会で発表し、英語論文としてまとめる予定である。また、コロナ禍も収束に向かっているため、感染対策を徹底し「術前化学療法を施行する切除可能境界膵癌患者に対する術前PROリハビリテーションの効果」に関する前向きRCT研究も速やかに進め、研究期間内には結果を公表できるよう最善を尽くす所存である。
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