• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

運動療法の継続がアポトーシスを抑制し脳梗塞後の神経細胞死を軽減する機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K11191
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

倉林 均  埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70192036)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードリハビリテーション科 / 脳卒中 / 神経細胞死 / アポトーシス / サイトカイン / 血管内皮障害 / 血小板活性化
研究実績の概要

脳梗塞などの運動療法において、アディポカイン、炎症性サイトカイン、アポトーシスの評価、血小板の活性化、血管内皮の機能障害、神経細胞死の評価を解析し、動脈硬化性疾患の最適なモダリティーや負荷強度を持つ運動療法を開発していくことを目的に、種々の指標を測定し比較検討し、以下の結果を得た。
1) 脳梗塞慢性期患者に軽度~中等度の運動療法を継続するとCD4/8比、NK活性, リンパ球反応性は増大した。2) 脳梗塞慢性期患者に軽~中等度の運動療法を継続すると、運動療法の施行時間に応じて血小板活性化 (βTG, PF4)、血管内皮障害 (TM, EC)、接着分子 (VCAM, ICAM, ELAM) の各指標が低下し、線溶系 (PIC)と抗凝固 (ATIII, TAT) の指標は増大していく。3) また運動療法によりアポトーシス (FasL, TNFR) や慢性炎症 (IL-6, IL-1β) の各指標は低下した。運動療法の継続により、アポトーシスは減少し、神経細胞死を抑制する可能性も考えられる。これらから運動療法の継続は細胞免疫、線溶機能、抗凝固作用、血小板活性化、血管内皮機能、接着分子、炎症性サイトカイン、アポトーシス、神経細胞死を介して生体を調節している可能性が考えられた。脳梗塞の発症は、リンパ球・樹状細胞の血管内皮粘着・侵入→動脈硬化巣の形成→内皮機能の障害→血小板の凝集亢進・線溶機能の低下→血栓形成→神経細胞死という過程をとることが報告されているが、私達の先行研究では運動療法がこれら全ての過程に影響を及ぼしていることが判明し、軽~中等度の運動療法の継続は高齢者脳梗塞の二次予防に寄与する可能性があると思われる。このように運動療法は、単に運動機能を改善するだけでなく、生体に多彩な効果を及ぼし、疾病予防や健康増進に寄与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

対象となる疾患を蓄積し、ほぼデータの測定が終了した。研究計画に沿っておおむね順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

次年度はデータの解析・統計などをしていき、本研究の結果・総括を提示したい。

次年度使用額が生じた理由

集積した症例のうち統計解析から除外すべき症例が若干存在したため、またサイトカインや内皮障害の指標を若干見直したため、検査測定件数が少なくなり、余剰金が発生した。次年度は次年度使用額および翌年度額を、逸脱値の再測定費、検査・測定機器の購入費、研究成果発表のための学会・講演会出張旅費などにあて、本研究の検証・総括・発表を行う計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 運動による生体調節ー脳梗塞・血小板活性化・神経細胞死の抑制に向けてー2021

    • 著者名/発表者名
      倉林均、前田恭子
    • 雑誌名

      The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine

      巻: 58 ページ: 1424-1426

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quality of life and life-space mobility after total knee arthroplasty in patients with rheumatoid arthritis: a pilot case-controlled study2021

    • 著者名/発表者名
      Mizoguchi Y, Tanaka S, Matsumoto Y, Urakawa T, Kurabayashi H, Akasaka K, Hall T
    • 雑誌名

      J Phys Ther Sci

      巻: 33 ページ: 660-667

    • DOI

      10.1589/jpts.33.660.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 運動による生体調節2021

    • 著者名/発表者名
      倉林 均
    • 学会等名
      第58回日本リハビリテーション医学会・学術集会
  • [学会発表] 運動器疾患の温泉療法2021

    • 著者名/発表者名
      倉林 均
    • 学会等名
      第86回日本温泉気候物理医学会総会・研修会
  • [学会発表] 温熱療法1・22021

    • 著者名/発表者名
      倉林 均
    • 学会等名
      第29回温泉利用指導者養成講習会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi