研究課題/領域番号 |
20K11193
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
森沢 知之 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (80552512)
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研究分担者 |
高橋 哲也 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (00461179)
齊藤 正和 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (60640597)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニア / 呼吸筋力 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢心疾患患者の呼吸筋力と四肢骨格筋の関連性を明らかにし、高齢心疾患患者のサルコペニア重症化因子の探索と新たな心臓リハビリテーションプログラムの構築を目指すことである。本研究は高齢心疾患患者の呼吸筋と四肢骨格筋の多面的評価のデータを収集する研究①と、研究①で得られたデータをもとに、呼吸筋と四肢骨格筋の関連性を解析し、臨床上重要な指標とそのカットオフ値を求めるとともに、予後改善を目的とした効果的な心臓リハビリプログラムを立案する研究②で構成されている。
今年度は主に高齢者の呼吸筋サルコペニアの実態を明らかにすることを目的に、地域高齢者117名を対象に、サルコペニア、呼吸筋力低下、呼吸器サルコペニアの関連を調査した。その結果、サルコぺア群は呼吸筋力が他のグループと比較して有意に低下していることを明らかにした。また、非サルコペニア群の中には呼吸筋力が低下している対象者が一定数おり、このグループは健常群と比較すると身体機能や骨格筋量が減少しており、健常者とサルコペニアの中間には呼吸筋力が低下する「呼吸器サルコペニア」が存在することを報告した。本研究結果はInternational journal of environmental research and public healthに採択された。
また高齢心疾患患者を対象した呼吸筋力と四肢骨格筋の関連については現在、データを収集中であり、現在、50例の測定が完了している。また高齢心疾患患者だけではなく、対象者を敗血症患者まで拡大し、全体で100名程度の測定が完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の主要なアウトカムは呼吸筋力であるが、新型コロナウイルスの発生により、日本呼吸器学会から「不急の場合の呼吸機能検査の実施については慎重に判断する」旨の提言が発表されたため、研究協力者と実施方法について慎重に検討する時間が必要であった(日本呼吸器学会「新型コロナウイルス感染症流行期における呼吸機能検査の実施について」より)。 感染者数が減少傾向にある時期の計測は比較的進んだものの、新株発生に伴う患者数が増加した時期には呼吸筋力の計測についてより慎重に対応する必要があったため、現在は100名程度の計測に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、測定に必要な機器は揃っており、データは少しずつであるが、着実に増加している。今後も感染状況に応じた計測を継続して行う予定である。
また、昨年度より心疾患のみならず地域高齢者やリハビリテーションを受ける高齢者にも研究の対象を拡大しており、引き続き地域高齢者を対象とした基礎データの収集や、他疾患(現在は敗血症患者)のデータを収集し、健常高齢者や異なる病態との比較を行う。
さらに近年は横隔膜の最新の評価としてCTを用いた方法が注目されており、新たな解析方法手段の一つとしてCT解析を加えた。現在、超音波に加えて、CT解析など多面的に呼吸筋力の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの発生により、当初の研究計画より遅れているため次年度使用額が生じた。次年度は研究対象者が増加する予定であり、また研究成果を報告する機会も多くなるため次年度は予定通り使用する予定である。
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