研究課題/領域番号 |
20K11196
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
高木 聖 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (70712305)
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研究分担者 |
山下 剛範 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10410937)
三浦 俊宏 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (90281493)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レスベラトロール / トレッドミル走行 / 抗酸化・炎症作用 / 骨密度 |
研究実績の概要 |
1)2021年度においては、レスベラトロール(RSV)摂取と併用するトレッドミル走行の最適強度・時間を明らかにするために、2型糖尿病モデル動物(KK-Ayマウス)を用いて、トレッドミル走行の抗酸化・炎症作用ならびに抗糖尿病作用について検討した。走行は、①申請者らの先行研究(Calcif Tissue Int 2017)に準じた方法(5 m/分・120分間)ならびに②Leeらの先行研究(Am J Physiol Heart Circ Physiol 2011)に準じた方法(10 m/分・60分間)の2群を設定し、5日/週、10週間実施した。また、非走行群をコントロールとした。酸化ストレスマーカーであるタンパク質カルボニル値は3群間に差を認めなかったが、2-チオバルビツール酸反応性物質の値は、①が最も低く、コントロール群との間に有意差がみられた。炎症マーカーであるCRP値についても①が最も低く、コントロール群との間に有意差がみられた。血糖値は①がコントロール群に比べて有意に低く、糖負荷後血糖値については①が他の2群より有意に低かった。 以上のことから、トレッドミル走行の強度・時間は①の方法が適していると判断した。
2)上記1)の結果を基に、KK-Ayマウスを用いて、トレッドミル走行(5 m/分・120分間・5日/週)とRSV摂取(100 mg/kg体重/日)の併用療法に関する実験に着手した。実験は、RSV摂取群、トレッドミル走行群、併用群(RSV摂取+トレッドミル走行)、コントロール群(非摂取・非走行)の4群を設定し、10週間実施した。血糖値、CRP値、内臓脂肪量は、コントロール群に比べて走行群および併用群において有意に低かった。大腿骨近位部骨密度は、併用群がコントロール群よりも有意に高かった。 今後は骨微細構造や骨強度、骨代謝マーカー値についても測定する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究におけるトレッドミル走行の強度・時間については、2020年度に明らかにする計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言や移動自粛要請の影響によって、研究補助者を十分に確保することができず、2021年度に実施することとなった。その後は、トレッドミル走行とRSV摂取の併用療法に関する実験に着手することができ、当初計画の実験データの一部を取得することができたものの、「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置」による影響で、再び実験にやや遅れが生じた。2022年度においては、未だ着手していない実験を遂行し、遅れを取り戻したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020・2021年度の実験結果から、本研究に用いるRSV摂取量ならびにトレッドミル走行の強度・時間が明らかになった。それらの結果を基に、今後はトレッドミル走行とRSV摂取の併用療法の「2型糖尿病の骨折リスク」に対する効果を検討する。骨変化については、DXAによる骨密度測定、マイクロCTによる骨微細構造解析、3点曲げ試験による骨強度測定を実施する。また、酸化ストレスや炎症関連マーカー値ならびに骨代謝マーカー値を生化学的に測定し、骨変化の機序に関与する因子について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当初予定していた学会が中止あるいはweb開催となったため、差額が生じた。 (使用計画)次年度の助成金と合わせて、実験動物および生化学実験用試薬の購入に使用する計画である。
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