研究課題/領域番号 |
20K11207
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
関口 兼司 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (70533793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニア / 横隔膜 / 呼吸機能低下 / トラッキング / 超音波 |
研究実績の概要 |
開発した横隔膜超音波画像専用スペックルトラッキングアプリケーション(ST-App)を用いて,倫理委員会承認を受け被験者対象研究を開始した.筋萎縮性側索硬化症患者および健常者の,安静臥位平静呼吸における横隔膜の頭尾方向への水平移動を記録した.動画をAVIに変換し,ST-Appで任意のROIの移動量を算出し,3回記録中の最大値平均を横隔膜移動距離とし,群間および他のパラメーターと比較した.アプリケーションによるトラッキング成功率を高めるために測定条件を最適化した.筋萎縮性側索硬化症患者の横隔膜移動距離は健常者平均に比べ有意に低値だった(n=10, 中央値 1.59 mm; 健常者中央値 5.71 mm, p< 0.01)。横隔膜移動距離は横隔神経刺激複合筋活動電位振幅と相関し,呼吸回数と逆相関した.6/10例の%FVCは80%以上と保たれていた。以上の結果から適切に横隔膜水平移動トラッキングアプリケーションが機能していることが検証できた.また,努力肺活量の減少と横隔膜移動量の低下が相関しなかったことから,最大吸息力を反映する肺活量が保たれている時点でも,安静時呼吸では収縮力が低下する疾患の初期は,呼吸回数の増加で換気量の低下を代償していると考えられた.そのため,横隔膜機能に限ってみると呼吸筋力低下の検出機能として本評価法は肺活量よりも鋭敏である可能性があると考えられた.今後サルコペニアの基準に適合する一般被検者を動員し,データ取得・解析を行い病態生理について検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ST-Appの再現性の検証および動作確認を目的として,多岐にわたる患者の動画を解析したため,本来の対象者を収集することに遅れが生じた.また,コロナ禍のため院内への侵入が困難であり,健常被検者の動員および病院内での検査が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
サルコペニアの診断基準に合致する被検者を召集し研究を完遂する.これまでのデータと比較してサルコペニアにおける特徴を抽出していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で当該被検者募集が順調に進まなかった.社会情勢の鎮静化にあわせ対象者を集める予定で,被験者登録業者と協力して適切な対象者を動員していく.
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