研究課題/領域番号 |
20K11208
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
東 登志夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40244090)
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研究分担者 |
藤村 誠 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (30229041)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Virtual Reality / 運動錯覚 / 上肢機能訓練 |
研究実績の概要 |
脳卒中の上肢機能に対する介入方法の一つにミラーセラピー(Mirror Therapy; MT)がある.MTはミラーボックスの中に立てられた鏡に健常肢の動きを映し,その動きを観察することで患側肢の運動錯覚を生じさせる介入方法である.MTは,既に複数のメタアナリシスが報告されており,良好なエビデンスが示されている.しかしながら,MTでは鏡像による視覚誘導を前提としているため,MTで使用される動作は,手指の屈伸運動(グーパー)や手関節の掌背屈運動等の単純な動作に制限される問題を有している. そこで,本研究課題では没入型のVirtual Reality(VR)を応用することで両手動作を用いた複雑動作において視覚誘導性運動錯覚を引き起こすことができる新しい上肢機能訓練システム(HTS-VR)を開発し,その有用性について検討することを目的とする. 本年度は,このHTS-VRのシステムプログラムの開発を主に行った.方法は,ヘッドマウントディスプレイにOculus Rift(Oculus社),手の動きの検出にはLeap Motion(Leap Motion社)を採用し,Unity(Unity technology社)を使用してプログラミングした.今年度の成果として,没入型のVR環境下において,一側肢は被験者のリアルムーブメント,もう一側肢は事前に記録されたデータ(バーチャルハンド)を同期させることで非対称的な両手動作である片手じゃんけん課題を行える初期プログラムが完成した.今後は,より日常的な両手動作課題のプログラムも追加した上で,経頭蓋磁気刺激を用いた課題遂行中の皮質脊髄路の興奮性の検証実験に移行する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により,プログラム開発を担当している藤村との対面打ち合わせが制限されたため,VRによる視覚誘導性運動錯覚を用いた上肢機能訓練システムのプログラム開発が当初計画よりもやや遅延している.
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今後の研究の推進方策 |
やや遅延しているプログラム開発を推進するために,対面の研究打ち合わせに加え,オンラインによるミーティングも積極的に行うこととする.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,初年度の計画がやや遅延したとともに,成果発表や資料収集旅費などが消化できなかった.未消化分については,実験に必要なOculus Riftの増台や,延期となった旅費に充てる予定である.
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