研究課題/領域番号 |
20K11208
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
東 登志夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40244090)
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研究分担者 |
藤村 誠 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (30229041)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Virtual Reality / Mirror Therapy / TMS |
研究実績の概要 |
本研究課題は,脳卒中の上肢機能に対する介入方法の一つであるミラーセラピーを参考に,没入型のVirtual Reality(VR)を応用することで,両手動作を用いた複雑動作においても視覚誘導性運動錯覚を引き起こすことができる新しい上肢機能訓練システム(HTS-VR)を開発し,その有効性について検討することを目的としている. 今年度は,健常成人14名を対象に,HTS-VRが鏡を使用する従来型のMT(CMT)と同様に運動錯覚感を惹起させ,皮質脊髄路の興奮性(CE)に影響を及ぼすかどうかについて検討した.実験条件はHTS-VR条件とCMT条件の2条件とし,クロスオーバーデザインとした.課題はメトロノームのリズムに合わせた左母指内外転反復運動(1Hz)とした.CEの指標には経頭蓋磁気刺激法(TMS)により導出される運動誘発電位(MEP)を用いた.MEPは被験筋を右短母指外転筋とし,課題時の外転相で左M1上にTMSを与えることで導出した.また,各条件における身体所有感,運動主体感,運動錯覚感を評価するためにVisual analog scaleを用いた.その結果,HTS-VRは,CMTと同程度の運動錯覚感を惹起させ,実動作を行う上肢の同側のCEを増大させることが示唆された.ただし,身体所有感と運動主体感の惹起はVRMTとCMTとの間に異なる傾向が見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響によって研究分担者の藤村との対面での打ち合わせが制限されたことによるプログラム作成に遅れが生じたこと.また経頭蓋磁気刺激を用いた実験に関しても被験者の確保等に苦慮したことにより,当初計画より遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響により遅れたことから,研究計画を1年間延長した.感染状況も落ち着いてきたことから,研究分担者の藤村との研究打ち合わせ頻度を増やし,次年度は,HTS-VRの非対称課題における皮質脊髄路興奮性の評価についての実験及び,HTS-VRによる脳卒中患者の上肢機能への介入効果の検証を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響によって,研究分担者の藤村との対面での研究打ち合わせが制限されたこと等によりプログラムの作成が遅れたこと,さらに経頭蓋磁気刺激を用いた実験にも制限が生じたため当初計画どおりに研究を進めることができなかった.次年度は延期になった旅費や論文掲載料,追加データ収集用のヘッドマウントディスプレイの購入などに充てる予定である.
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