研究課題/領域番号 |
20K11212
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 雄一 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00570136)
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研究分担者 |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20538136)
岡 真一 札幌医科大学, その他部局等, 講師 (70789453)
佐々木 優子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80631142)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
山下 達郎 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60815439)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨髄間葉系幹細胞 / 脳梗塞 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
近年、骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いた細胞療法(MSC治療)は、再生医療の分野で脳梗塞や脊髄損傷に対する新しい治療方法として注目されている。我々は、既にラット脳梗塞モデルに対するMSC移植にリハビリを併用すると、リハビリ単独群やMSC移植単独群よりも、さらに高い運動機能の回復が得られるこという報告をした。MSCは、1)梗塞巣周囲に集積し、2)脳梗塞体積を減少させ、3)脳梗塞周辺領域のシナプス新生を誘導し、4)脳梁萎縮を抑制、するが、リハビリを併用すると、脳の可塑性のさらなる亢進を誘導することが可能となり、より高い治療効果が得られることを明らかにした。しかし、実臨床に目を向けると、MSC治療とリハビリの至適なプロトコルの確立はなされておらず、様々な議論が絶えない状況である。一方、最近のリハビリの動向として、早期リハビリや高負荷・高頻度のリハビリの有用性、さらに、日常生活における適切な環境因子に注目が集まっている。本研究は、MSC移植に併用する適切な運動(リハビリ)の種類や頻度・強度とともに、飼育環境も考慮し、回復経過を分子メカニズムなど様々な視点から詳細に比較解析することで、MSC移植の治療効果を最大限に引き出すための新しいリハビリ方法を確立することを目的としている。特に、運動強度と運動時間をなどの負荷量に注目し、脳の可塑性のパターンの変化、神経回路の再構築、シナプス新生などの観点から解析を進めている。現在までに、本研究費によって、各運動負荷における実験的脳梗塞に対する治療効果の行動学的解析、MRI解析、神経トレーサーを用いた神経解剖学的解析などを行っている。以上のように、補助金は補助条件に従って、有効に使用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、本研究費によって、各運動負荷における実験的脳梗塞に対するリハビリテーションと骨髄間葉系幹細胞移植併用による治療効果を行動学的(運動機能・学習記憶能力など)、画像診断学的、神経解剖学的、免疫組織学的の解析を推進している。ラット中大脳動脈永久閉塞(MCAO)モデルは、Intraluminal thread methodを用いて作製し、(i)コントロール群、(ii)リハビリ群、(iii)MSC群、(iv)併用群の4群を設定した。細胞移植を行う群では、脳梗塞発症後急性期に骨髄間葉系幹細胞を経静脈的に移植している。(ii)リハビリ群、(iv)併用群のリハビリに対して、①②の2パターンを設定し、至適な運動時間と運動強度を探索している。(①運動時間:脳梗塞作製1日後より毎日20分間、40分間または60分間のトレッドミル走行を6週間行う。運動強度は3m/minから開始し、1週経過するごとに速度を3m/min上げ、6週後には18m/minとする。②運動強度:脳梗塞作製1日後より毎日20分間のトレッドミル走行を6週間行う。運動強度は3m/min、9m/min、15m/min、21m/min、30m/minとする。) 運動機能評価は、limb placement test(LPT)、トレッドミル負荷試験で行い、ラットの運動能力の回復過程を評価する。6種類のテストから構成されるLPTでは損傷半球の対側四肢の機能レベルを計測し、トレッドミル負荷試験ではラットの最大走行速度を測定している。記憶・学習能力評価は、Morris水迷路試験で行い、目標到達までのトレーシング、時間を計測して、ラットの記憶・学習能力の回復過程を評価している。
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今後の研究の推進方策 |
各運動負荷における実験的脳梗塞に対するリハビリとMSC移植の併用で得られる治療効果の分子メカニズムを詳細に比較解析するために、行動学的(運動機能・学習記憶能力など)解析、MRI解析、神経解剖学的解析、免疫組織学的解析を継続する予定である。特に、ラット中大脳動脈永久閉塞(MCAO)モデルは、Intraluminal thread methodを用いて作製し、リハビリとMSC移植の併用で得られる治療効果のメカニズムを明らかにするために上記の4実験群を設定し、実験動物数を増やし、行動学的(運動 機能・学習記憶能力など)解析、MRI解析、神経解剖学的解析、免疫組織学的解析によって詳細に検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)計画的に研究を進めたが、該当年度の研究費使用において軽微な残額が発生した。 (使用計画)残りの研究計画に従い、物品購入等に充填する予定である。
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