研究課題
近年、骨髄間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells:MSC)を用いた細胞療法(MSC治療)は、再生医療の分野で脳梗塞や脊髄損傷に対する新しい治療方法として注目されている。我々は、既にラット脳梗塞モデルに対するMSC移植にリハビリを併用すると、リハビリ単独群やMSC移植単独群よりも、さらに高い運動機能の回復が得られることを明らかにした。しかし、実臨床に目を向けると、MSC治療とリハビリの至適なプロトコルの確立はなされていない。一方、最近のリハビリの動向として、早期リハビリや高負荷・高頻度のリハビリの有用性などに注目が集まっている。本研究課題において、MSC移植に併用する適切な運動(リハビリ)の種類や頻度・強度を考慮し、回復経過を分子メカニズムなど様々な視点から詳細に比較解析することで、MSC治療の治療効果を最大限に引き出すための新しいリハビリ方法を確立することを目的とした。ラット中大脳動脈永久閉塞(MCAO)モデルは、Intraluminal thread methodsを用いて作製し、(i)コントロール群、(ii)リハビリ群、(iii) MSCs治療群、(iv)併用群の4群を設定した。MSC治療を行う群では、脳梗塞発症後急性期に骨髄間葉系幹細胞を経静脈的に投与した。(ii)リハビリ群、(iv)併用群のリハビリに対して、MCAO作製1日後より毎日のトレッドミル走行を6週間行った。また、運動強度は3m/minから開始し、1週経過するごとに速度を3m/min上げ、6週後には18m/minとなるように設定した。運動機能評価は、limb placement test、トレッドミル負荷試験で行い、ラットの運動能力の回復過程を評価した。また、画像診断学的評価としてMRI T2強調画像により脳梗塞体積の継時的定量を行っている。以上より、補助金は適切に使用している。
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