研究課題/領域番号 |
20K11217
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
山本 澄子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (30302102)
|
研究分担者 |
小林 吉之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (00409682)
堀川 悦夫 佐賀大学, 医学部, 教授 (10155004)
金 承革 常葉大学, 健康科学部, 教授 (20300072)
昆 恵介 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (30453252)
江原 義弘 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (50349304)
橋詰 賢 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (50727310)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 歩行計測 / データベース / 多施設共同 |
研究実績の概要 |
これまでの研究から施設横断型歩行データベース構築のためには多くの課題があることが明らかになった。本研究の研究代表者、研究分担者はいずれも歩行計測に多くの知識と経験を有しているが、これらの施設においても実際の計測手法の一部にバリエーションがあり、特に教育機関の学生による計測では多くの問題点が考えられた。この点を踏まえて2022年度は以下に述べる3つの課題を遂行した。1つ目は正確な歩行計測のための動画マニュアルの作成、2つ目はデータ受け入れのためのデータベースのフォーム作成、3つ目はバイオメカニズム学術講演会におけるシンポジウムの開催である。 計測マニュアルの作成は、研究代表者、分担者が集まって実際の計測場面を再現しながらビデオ撮影を行い、多くのビデオ画像を含んだパワーポイントによる計測マニュアルを作成した。内容は、計測室のメインテナンス、カメラと床反力計の精度確認の方法、光学式計測における身体へのマーカー貼付の詳細な説明、計測後のデータ確認の方法などである。これらを含んだパワーポイントは、バイオメカニズム学会のホームページで閲覧可能とした。 歩行データベースのためのフォーム作成は、過去に歩行データベースフォーム作成の経験がある業者の協力を得て行った。Googleドライブを使用してデータの受け渡しを行う流れであり、これによってデータ提供側、受け取り側ともにスムーズな受け渡しが可能となった。 2022年11月27日(土)のバイオメカニズム学術講演会のオーガナイズド・セッション「歩行データベース研究部会活動報告」の中で講演会を開催した。弁護士である増島雅和氏(森・濱田松本法律事務所)による個人情報保護に関する講義と、歩行データから個人を特定する研究の第一人者である八木康史氏(大阪大学)による個人識別に関する講義で最新の知見を教授していただいた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歩行データ計測の手順について、本研究グループが推奨する手法を確立するためのマニュアル作成が必要という認識にいたり、時間をかけてマニュアル作成を行った。歩行データ受け入れのためのデータフォームについて、従来のシステムの問題点が明らかになり改善をはかるために時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
データ受け取りフォームが完成したことから、2023年度はまず研究代表者、研究分担者の施設で計測したデータの登録、管理を実施し、問題点を抽出してさらなる改善を図る。その後、バイオメカニズム学会会員にデータの提供をよびかけてデータの蓄積を行う。蓄積されたデータから、標準的な日本人の歩行データ・セットを作成する。データベース利用者へのよびかけも行い、データ利用の促進を図る。 標準的な日本人の歩行データ・セットより性差、年代差を調査し、海外の文献などで明らかになっているデータと比較することによって、日本人歩行の特徴を明らかにする。また、複数の施設のデータをまとめることによって、実際に起こりえる施設間のわずかな計測方法などの違いがどのようにデータに影響を与えるかについても検討する。上記2課題について論文を執筆し、国際学会誌に投稿する。 2022年度に行った計測マニュアル作成の過程において、計測時およびデータ分析の際に起こりやすい間違いが明らかになった。これらの情報を利用し、さらに標準的なデータからの逸脱を考慮して、各施設から提出されたデータの質を評価する方法について検討する。データの質に問題があった場合の確認および対処方法を検討し、質の高い歩行計測を目指して計測マニュアルの改善を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画作成時に予定していた対面による打ち合わせのほとんどをオンラインで実施したため、旅費の支出が少なくなった。マニュアル作成において、すべて研究者自身が編集を行ったため費用が生じなかった。2023年度はデータフォームの運用によって明らかになる問題点の改善を行うとともに、計測システムの精度検定のために必要な治具の開発、国際学会誌への投稿に必要な費用を予定している。
|