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2021 年度 実施状況報告書

服薬時嚥下障害への新規治療戦略:薬剤Dosage Forms(剤型)による解析

研究課題

研究課題/領域番号 20K11236
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

山脇 正永  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30302855)

研究分担者 檀 一平太  中央大学, 理工学部, 教授 (20399380)
鈴木 健嗣  筑波大学, システム情報系, 教授 (30350474)
鈴木 孝禎  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90372838)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード嚥下障害 / 薬剤剤型 / 簡易検査
研究実績の概要

高齢化が進んでいる我が国において、嚥下障害の克服は喫緊の課題であるが、薬剤の嚥下についての研究はほとんどないのが現状である。現在までに我々は嚥下障害発症のメカニズムとして、大脳嚥下中枢から延髄嚥下中枢への抑制シグナルの関与、感覚入力による運動野制御、及び大脳嚥下中枢における嚥下困難の脳内表象(脳内表現)を明らかにした(Yamawaki 2010, Yamawaki 2016, Fujishima 2019)。本研究はこれらの結果をもとに、1)薬剤dosage forms(剤型、潤滑性、可溶性など)の嚥下運動への影響の分析、2)種々の薬剤dosage formsによる嚥下運動の脳内表象の解明、3)現在進行している高齢者における服薬状況に関するコホート研究との比較分析、4)加齢変化及び嚥下障害にふさわしい薬剤内服戦略の開発、を目的とする。
2021年度までに、a)装着型嚥下計測器Gokuriによる種々の剤型での嚥下運動の解析、b)fNIRSによる種々の剤型での嚥下の脳内表象の解析、c)コホート研究による高齢者の薬剤内服パターンの解析、を進めており、2022年度は、d)嚥下障害パターンと薬剤dosage formsの解析、e)臨床試験への準備、の5つのサブカテゴリーで進める予定である。
本研究は薬剤嚥下運動の分析及びその脳内表象(脳内コネクトーム:大脳・延髄ネットワークを含む)を解析することにより、嚥下運動に効率的な薬剤dosageformsを解明し、DDS (drug delivery system)も含めた新たな薬剤dosage formsの開発につなげようというものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19による研究実施及び被検者のリクルートの制限によりやや遅れている。大学のガイドラインで、研究者の研究施設への立ち入り制限、被検者の来校制限が設けられており、研究の進捗に影響した。さらに、本研究は、口腔内の観察も含めた嚥下運動を評価するものであり、COVID-19による感染上の対策を取る必要があった点も研究の進捗に影響した。

今後の研究の推進方策

2022年度は、臨床試験プロトコールを作成することを目標とする。種々のdosage formsについて、placebo薬あるいは実際に内服している薬剤を用いて、剤型としては種々の形態・大きさの錠剤、カプセル剤等にて検討を行うプロトコールを作成中である。薬剤嚥下時のコネクトームを含む脳内表象評価はfNIRS(functional near-flared spectroscopy)を用いる。我々はこれまでにfNIRSを用いた摂食嚥下運動に関する脳コネクトーム及び脳内表象のデータを十分に蓄積している。現在までに、スムーズな嚥下と嚥下困難の脳内表現パターンが異なることを報告しており、種々のdosage formsによりどのような脳内表象となるかの分析を行い、高齢者及び嚥下障害のパターンに応じた至適条件を解析する。
本研究では、薬剤嚥下運動における脳内コネクトーム(大脳・延髄ネットワーク)を介した新たな薬剤剤型およびDDSの開発につなげようという国内外を通じて初めての研究であり、新たなDosage forms (剤型、潤滑性、可溶性など)の開発、薬剤嚥下機能を評価する新たな機器の開発、新たなDDSの開発、ポリファーマシー改善及び医療経済効果への貢献、等の学術的、臨床的な波及効果が期待される。
本研究グループは、リハビリテーション医学、創薬薬学、生体医工学、脳科学の国内外でも最先端の専門家で構成されており、国際的な競争力及び独創性も十分であると考えられる。さらにDDS、創薬にもかかわることから、本研究に付随して種々の知的財産に関しても競争力があると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19による研究実施及び被検者のリクルートの制限によりやや遅れている。大学のガイドラインで、研究者の研究施設への立ち入り制限、被検者の来校制限が設けられており、研究の進捗に影響した。さらに、本研究は、口腔内の観察も含めた嚥下運動を評価するものであり、COVID-19による感染上の対策を取る必要があった点も研究の進捗に影響した。2022年度に2021年度分も含めて研究を実施する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] Two cases of novel coronavirus infection (COVID-19) with transient viral elevation using semi-quantitative real-time reverse transcription PCR and symptom relapse after completion of 10 days of favipiravir treatment.2021

    • 著者名/発表者名
      Tsuboi H, Kasamatsu Y, Matsubara S, Sasao A, Kunimitsu K, Munakata N, Ito T, Tsuchido Y, Yamawaki M, Fujita N
    • 雑誌名

      Journal of infection and chemotherapy

      巻: 27 ページ: 1072-1075

    • DOI

      10.1016/j.jiac.2020.12.018

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A case of hereditary hemorrhagic telangiectasia complaining of shunt encephalopathy diagnosed by fast Fourier transform and contrast-enhanced ultrasonography2021

    • 著者名/発表者名
      Sakagami Junichi, Sogame Yoshio, Yasuda Hiroaki, Sakai Takamitsu, Kitano Satomi, Yamawaki Masanaga, Itoh Yoshito, Kagawa Keizo
    • 雑誌名

      Journal of Hospital General Medicine

      巻: 3 ページ: 49-53

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 看護実践における「高齢者の胃ろう離脱のためのケアプロトコールの構成項目」の信頼性と妥当性の検証2021

    • 著者名/発表者名
      千葉 由美, 山田 律子, 市村 久美子, 古田 愛子, 椎橋 依子, 中島 聖子, 戸原 玄, 山脇 正永, 石田 瞭, 唐帆 健浩, 植田 耕一郎, 平野 浩彦, 許 俊鋭
    • 雑誌名

      日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌

      巻: 25 ページ: 190-207

    • DOI

      10.32136/jsdr.25.3_190

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 症例 私の治療方針(series 19) 球症状を呈し、重症筋無力症と筋萎縮性側索硬化症の鑑別を要した76歳女性例2021

    • 著者名/発表者名
      谷口 洋, 向井 泰司, 金沢 英哲, 山脇 正永, 向井 泰司
    • 雑誌名

      嚥下医学

      巻: 10 ページ: 53-61

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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