研究課題/領域番号 |
20K11238
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00033358)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 滑膜細胞 / 変形性膝関節症 / 関節リウマチ / 共培養系 / 5-HT4受容体刺激薬 / カルシウム遊離活性化チャネル |
研究実績の概要 |
膝関節の変形を起こす関節リウマチ由来のヒト滑膜細胞の代表的な負荷のシェアストレス(SS)に対する反応とそれによって引き起こされる神経細胞(共培養系)との細胞間相互作用をカルシウムイメージング法で測定して、「関節リウマチ発症のメカニズム」を解明し、関節リウマチ由来ヒト滑膜細胞の病態形成に関与し ているチャネルや受容体ならびに共培養した神経細胞の反応を解析して、新規治療薬の可能性を探る。 関節リウマチ由来ヒト滑膜細胞(CDD-H-2910-RA; Articular Engineering を、継代培養、細胞増殖後、冷凍保存)を用い、同様の解析を行 い、正常ヒト滑膜細胞 での結果と比較検することによって、関節リウマチ由来ヒト滑膜細胞におけるSS刺激による反応が病態時にはどのように変わるかを検討してきた。 さらに、ヒト正常滑膜細胞(Normal FLS)とヒト関節リウマチ由来滑膜細胞(RA FLS)のSS刺激に対する細胞内カルシウム濃度上昇反応におけるCRAC (calcium release activated calcium channel) の関与の程度についても解析を進めた結果、RAFLSにおいてCRAC2Aの発現が増大し(免疫染色の結果)、Normal FLSに比べてより優勢に 機能していることを初めて発見した。 一方、TRPV4は機械的刺激によりらCa2+を放出させることが知られているが、TRPV4の機能を抑制してもNormal とRA FLSのSS刺激による1回目の反応に対する2 回目の反応は減少するものの両者に有意差はみられなかった。TRPV4の発現にも両者に有意差はなかった。更に、CRAC2Aと、CRAC2Aと相互作用する細胞内のチャネルタンパクOrai1 と STIM1の発現について検討した結果、CRAC2A、STIM1の発現が増加していることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一度投稿して、査読者からのコメントが得られたのでそれを参考に追加実験(生理実験とWestern Blotting; WB) を行い、WBを依頼した業者からの結果を待っていたが、5月半ばになってやっと来たので、その結果、研究協力者と議論をしてクリアな結論が得られた。 すなわち、リュウマチ患者由来の滑膜細胞ではCRAC channelが活性化されておりそれがリュウマチの病態形成に関与している可能性が示された。 研究協力者の体調不良もあり、追加のサンプル作りも手間取り、また、依頼した業者からの結果も少し遅れて来たが、やっと、追加実験の結果(CRAC2A、STIM1の発現の増加)が得られたので、できるだけ早く論文をまとめて投稿したい。
|
今後の研究の推進方策 |
新しい実験結果をもとに、論文内容(図と本文)を見直して、早急に再投稿する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の遂行が遅れたため。実験を遂行する。
|