健常者を対象とした、運動観察における視線と脊髄前角細胞の興奮性との関係性として、一定の知見が得られたと考える。これまでの研究結果を総合的に判断し、他者が行う運動(映像)に対して、運動部位に集中し視線を向けながら観察すると、運動に関与する筋に対応した脊髄前角細胞の興奮性は増大することが判明した。この知見をリハビリテーションへ応用するには、疾患や廃用症候群等による何らかの原因で筋出力の低下が生じている場合には、治療として運動観察は選択肢の一つとなり、当該筋が関与する運動を運動部位に視線を向けながら観察させることで、脊髄前角細胞は興奮し、筋出力の増大に繋がるのではないかと考えている。
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