研究課題/領域番号 |
20K11254
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
坂井 孝司 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00444539)
|
研究分担者 |
浅井 義之 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00415639)
今釜 崇 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00634734)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | キネマティクス / キネティクス / 股関節 / 患者満足度 / 活動量 |
研究実績の概要 |
股関節疾患に対する人工股関節全置換術における、キネマティクスとしての関節不安定性・骨盤傾斜(臥位・立位・座位)・骨盤及び大腿骨の位置(オフセット・前捻)・画像上の脚長差・自覚的脚長差・下肢関節可動域、及びキネティクスとしての下肢筋力(股関節周囲筋力と膝伸展・屈曲)・身体活動量を評価し、治療後の個々の患者満足度・臨床スコアとの関連を調査した。 今年度の主な実績は以下の2つである。一つ目は昨年度に引き続き、活動量について術後1年まで評価しえた88例での検討を行い、術前から術後1年までの活動量の推移を明らかにしえたことである。活動量計測について、活動量計(Active Style Pro HJA-750C, Omron社)を術前、退院時、術後2か月、3か月、6か月、1年で各々の期間で1週間以上装着し、歩行時間、歩数、活動量(Ex)を記録した。なお装着時間が2時間未満の日は解析から除外した。またJHEQ患者満足度と術後1年時のforgotten joint score (FJS)を調査した。歩行時間と歩数、Exと日常生活Exは術後3か月で術前レベルより改善し、術後6か月から1年でも改善が増加していた。患者満足度は術前88(42-100)、退院時13.8 (0-82) 、術後6か月9.2(0-65) 、1年9.3 (0-80)で、術後6か月でプラトーに達していた。術後1年時の平均FJSは88.7(63-100)で、成功の基準とされる73点より高く、患者満足度と弱い相関を認めた(r=0.35)。 二つ目は片側変形性股関節症女性例63例を対象に、術前CTにおける股関節周囲筋評価と術後股関節周囲筋力、歩行能力(timed up and go test(TUG))を評価し、術後1年時のTUG良好群と不良群の比較により、術後1年時のTUGに影響する因子を見出したことである。CTデータでは中殿筋と大腰筋の体積(身長で補正)及びCT値(骨量ファントムで補正)を計測し、ステップワイズ法により、BMIと健側中殿筋補正CT値が、術後1年時のTUGと関連することを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究2年時終了時点で、股関節疾患例に対する活動量計計測について、術前:のべ193例、術後1か月:のべ167例、術後3か月までの評価例:のべ151例、術後6か月までの評価例:のべ130例、術後1年:のべ88例で、予定症例数を150例としており、症例データの蓄積については概ね順調に進展していると考える。これらの例については、術前、術後1か月、術後6か月、術後1年の時期について、脚長差(自覚的・X線学的)、下肢可動域、下肢筋力もあわせて評価し、また患者満足度評価として日本整形外科股関節疾患調査質問票(JHEQ)、WOMAC、OHS、SF-12,、FJSも評価しており、データセットの構築についても概ね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度も引き続き股関節疾患例に対するキネマティクス及びキネティクス評価を行い、データセットを構築して、患者満足度やFJSに関連する因子を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
活動量測定のため患者さんに活動量計を装着して調査しているが、コロナ禍により患者さんの外来受診が延期になり必要とする活動量計の数が変更となったため、次年度に使用する予定である。またコロナ禍により予定されていた調査・打ちあわせが次年度へ延期になり、旅費・調査研究費として次年度に使用する予定である。
|