令和3年度は、令和2年度と同様に、介護予防に資する住民主体の通いの場に参加されている地域在住高齢者に、研究協力を依頼した。研究協力に同意をいただいた対象者に、1.1年間の転倒経験の有無、2.足部形態、3.足部および足趾に関与する筋力、4.足趾に関わる運動機能の調査を実施した。その結果、約110名から解析が可能なデータが得られた。令和2年度に収集したデータと合わせると、本研究において解析が可能なデータは180名(男性47名、女性133名)となった。 三次元足型自動計測機を用いて計測した足部形態から、外反母趾角、アーチ高率、床面に対する踵骨の傾斜角を指標とした。筋力として足趾把持力と足関節底屈筋力、足趾に関わる運動機能として、5回立ち座り時間、片脚立位時間、最大1歩幅、Functional Reach Test(FR)、5m最速歩行時間を計測した。足部形態と筋力、運動機能の関係性について調べた。外反母趾の発症は、男性に比べて女性に多いことが報告されていることから、男女に分類して分析を行った。女性133名のうち、外反母趾有り57名、無し76名であった。外反母趾の有無と転倒経験に有意差を認めなかった。外反母趾を有すると、アーチ高率と踵骨の傾斜角に有意差を認め、外反母趾角とアーチ高率および踵骨の傾斜角に関係性を認めた。さらに、FRは外反母趾角の影響を受け、5回立ち座り時間、最大1歩幅、5m最速歩行時間は足趾把持力の影響を受けることが明らかとなった。
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