研究実績の概要 |
住民主体の通いの場に参加されている地域在住高齢者を対象に、1年間の転倒経験の有無、足部形態、足部および足趾に関与する筋力、足趾に関わる運動機能の調査を実施した。足部形態は、三次元足型自動計測機を用いて、外反母趾角、アーチ高率、床面に対する踵骨の傾斜角を計測した。筋力は、足趾把持力と足関節底屈筋力を計測し、足趾に関わる運動機能として、5回立ち座り時間、片脚立位時間、最大1歩幅、Functional Reach Test(FR)、5m最速歩行時間を計測した。 外反母趾の発症は、男性に比べて女性に多いことが報告されていることから、男女に分類して分析した。その結果、解析が可能なデータは女性133名(年齢77.7±6.2歳)であり、外反母趾の有無を外反母趾角16度以上と16度未満で判断すると、外反母趾あり57名、外反母趾なし76名であった。 外反母趾の有無と転倒経験に有意差を認めなかった。外反母趾の有無によって、アーチ高率と床面に対する踵骨の傾斜角に有意な差を認めた(p<0.001)。外反母趾角と床面に対する踵骨の傾斜角(r=0.468、p< 0.001)およびアーチ高率(r=-0.337、p<0.001)との間に相関関係を認めた。重回帰分析の結果、外反母趾角は、FR(β=-0.162、p=0.042)と関連しており、足趾把持力は、5回立ち座り時間(β=-0.182、p=0.036)、最大1歩幅(β=0.328、p<0.001)、5m最速歩行時間(β=-0.219、p=0.006)と関連していた。これらの外反母趾と足部形態および運動機能の関係性について論文を発表した(BMC Musculoskeletal Disorders, 2022, 23, DOI:10.1186/s12891-022-05962-x)。
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