研究課題
超高齢社会を迎えた現在では、サルコペニアの合併は、死亡のリスクを増加させ、自立した生活をするため、サルコペニア予防が重要な健康問題となっている。更に、高齢者ではプレサルコペニアの状態の骨格筋量減少がかなりみられ、サルコペニア予防には骨格筋量測定が必要であるが、時間を要し、プレサルコペニアを推定できるバイオマーカーが望まれる。健常女性高齢者のサルコペニア、推定糸球体濾過率(estimated glomerular filtration rate: eGFR)、ヘモグロビン、アルブミンなどの栄養指標のマーカーとしての成長分化因子-15(growth differentiation factor-15: GDF-15)の臨床的有用性を検討した。地域在住高齢女性において、サルコペニアは66名中4名(6.1%)にみられた。血清GDF-15は、年齢とは正の相関を認めるとともに、歩行速度、eGFRと負の相関を認め、身体機能および腎機能と強く関連していることを明らかにした。さらに、多変量回帰解析において年齢、体格指数(BMI)を調整した後もeGFR、ヘモグロビンの両者がGDF-15の規定因子であることが判明した。血清GDF-15値は、eGFRとヘモグロビンを規定する独立因子であることが明らかになった。GDF-15は腎機能障害と関連していることが知られているが、健常地域在住高齢女性において、それに貧血、サルコペニアのどちらが関連するか不明であった。今回、健常女性高齢者では、eGFRとヘモグロビンが血清GDF-15の規定因子であることを明らかにした。地域在住女性高齢者においてはGDF-15を介した腎機能障害はサルコペニアとではなく、貧血と密接に関連することが示された。
3: やや遅れている
コロナの影響で、臨床研究に参加できるリハビリ患者が少なかったため。
本研究に協力してくれる患者をさらに増やしていく。
コロナ禍による影響で、研究推進に遅れが生じた。次年度の研究に使用していく。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
IJC Heart & Vasculature
巻: 31 ページ: 100651~100651
10.1016/j.ijcha.2020.100651