高齢化社会におけるGDF-15を規定する因子の解明とサルコペニアの予防法の開発

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K11259
• 研究機関: 神奈川県立保健福祉大学
• 研究代表者: 福田 平 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (10648116)
• 研究分担者: 中島 敏明 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (50227790) ; 松本 晃裕 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (70323574)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: sarcopenia / biomarker / GDF-15

研究実績の概要

超高齢社会を迎えた現在では、サルコペニアの合併は、死亡のリスクを増加させ、自立した生活をするため、サルコペニア予防が重要な健康問題となっている。更に、高齢者ではプレサルコペニアまた、サルコペニアの状態の骨格筋量減少がかなりみられ、サルコペニア予防には骨格筋量測定が必要であるが、時間を要し、プレサルコペニアを推定できるバイオマーカーが望まれる。
心臓血管手術を受ける患者において血清GDF-15、ミオスタチン、サルコペニアとの関連を調べた。その結果、GDF-15とミオスタチンは骨格筋量指数（SMI）と心臓血管手術を受ける患者において、GDF-15とは逆相関、ミオスタチンとは正相関とその相関は異なっていた。多変量解析では年齢、性別、体格指数（BMI）で補正後もSMIはミオスタチンの決定因子であり、GDF-15とミオスタチンはSMIとエコー法による大腿前面筋厚の決定因子であった。ROC曲線解析では、GDF-15、ミオスタチン、年齢、性別、BMIより算出されたサルコペニア指数はサルコペニアの決定因子である可能性が示唆された。
また、大動脈弁置換術を受ける患者および健常高齢者において血清GDF-15濃度と筋機能の関連について調べた。その結果、大動脈弁置換術を受ける女性患者において健常者と比較して術前の血清GDF-15濃度はより高かった。多変量回帰解析では、血清GDF-15値は高感度CRP、推定糸球体濾過率と独立して、年齢を補正後に握力の決定因子であった。サルコペニアは健常高齢者では12.5％、TAVIを受ける患者では83.3％、外科的大動脈弁置換術を受ける患者では64.3％に認めた。ROC曲線解析ではサルコペニアを決定するGDF-15値は1109 pg/mLであった。血清GDF-15濃度はサルコペニアの血清マーカーである可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響で、研究推進に遅れが生じたため。

今後の研究の推進方策

本研究に協力してくれる患者を更に増やしていく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による影響で、研究推進に遅れが生じた。
次年度の研究に使用していく。

研究成果

• [雑誌論文] Mid-term results of surgical aortic valve replacement with bioprostheses in hemodialysis patients. (2022)
  • 著者名/発表者名: Shibasaki Ikuko, Fukuda Taira, Ogawa Hironaga, Tsuchiya Go, Takei Yusuke, Seki Masahiro, Kato Takashi, Kanazawa Yuta, Saito Shunsuke, Kuwata Toshiyuki, Yamada Yasuyuki, Haruyama Yasuo, Fukuda Hirotsugu.
  • 雑誌名: IJC Heart & Vasculature 巻: 40 ページ: 101030-101030
  • DOI: 10.1016/j.ijcha.2022.101030.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Relationship between the serum GDF-15 concentration and muscle function in female patients receiving aortic valve replacement (TAVR, SAVR): Comparison with healthy elderly female subjects. (2022)
  • 著者名/発表者名: Fukuda Taira, Nakajima Toshiaki, Yazawa Hiroko, Hirose Suguru, Yokomachi Jun, Kato Takashi, Nishikawa Riichi, Koshiji Nobuo, Tokura Michiaki, Nasuno Takahisa, Nishino Setsu, Obi Syotaro, Shibasaki Ikuko, Kanaya Tomoaki, Nakamura Fumitaka, Fukuda Hirotsugu, Abe Shichiro, Sakuma Masashi, Toyoda Shigeru.
  • 雑誌名: IJC Heart & Vasculature 巻: 40 ページ: 101032-101032
  • DOI: 10.1016/j.ijcha.2022.101032.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Serum and adipose dipeptidyl peptidase 4 in cardiovascular surgery patients: Influence of dipeptidyl peptidase 4 inhibitors. (2022)
  • 著者名/発表者名: Shibasaki Ikuko, Nakajima Toshiaki, Fukuda Taira, Hasegawa Takaaki, Ogawa Hironaga, Tsuchiya Go, Takei Yusuke, Tezuka Masahiro, Kato Takashi, Kanazawa Yuta, Kano Yasuyuki, Kuwata Toshiyuki, Ouchi Motoshi, Toyoda Shigeru, Aso Yoshimasa, Fukuda Hirotsugu.
  • 雑誌名: J. Clin. Med. 巻: 11 ページ: 4333-4333
  • DOI: 10.3390/jcm11154333.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Association between serum GDF-15, myostatin, and sarcopenia in cardiovascular surgery patients. (2022)
  • 著者名/発表者名: Nishikawa Riichi, Fukuda Taira, Haruyama Akiko, Shibasaki Ikuko, Yamaguchi Suomi, Arikawa Takuo, Obi Syotaro, Amano Hirohisa, Yagi Hiroshi, Sakuma Masashi, Abe Shichiro, Fukuda Hirotsugu, Toyoda Shigeru, Nakajima Toshiaki.
  • 雑誌名: IJC Heart & Vasculature 巻: 42 ページ: 101114-101114
  • DOI: 10.1016/j.ijcha.2022.101114.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Amputated upper/lower limb rehabilitation: Application of KAATSU training. (2022)
  • 著者名/発表者名: Ishizaka Hayato, Nakajima Toshiaki, Fukuda Taira, Hirata Miki, Arakawa Takuya, Doolittle John, Munatones Steven, Hirose Ken, Yamasaki Motoshige, Oguri Atsushi, Mizushima Takashi, Toyoda Shigeru, Sato Yoshiaki.
  • 雑誌名: Int J KAATSU Training Res. 巻: 18 ページ: 1-10
  • DOI: 10.3806/ijktr.18.1.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] Increased Neprilysin Expression Links Atrial Fibrotic Remodeling in Cardiovascular Surgery Patients. (2022)
  • 著者名/発表者名: Toshiaki Nakajima, Akiko Haruyama, Taira Fukuda, Kentaro Minami, Syotaro Obi, Shu Imai, Masashi Sakuma, Shichiro Abe, Ikuko Shibasaki, Hirotsugu Fukuda, Shigeru Toyoda.
  • 学会等名: The American Heart Association (November 5-7, 2022 A virtual experience)
  • 国際学会
• [学会発表] 心臓血管外科手術を受ける患者における血清GDF-15、ミオスタチンとサルコペニアとの関連. (2022)
  • 著者名/発表者名: 福田平、西川理壱、春山亜希子、柴崎郁子、山口すおみ、有川拓男、小尾正太郎、天野裕久、八木博、佐久間理吏、阿部七郎、福田宏嗣、豊田茂、中島敏明
  • 学会等名: 第41回日本臨床運動療法学会学術集会（2022.9.3-4, 東京）
• [学会発表] 心臓血管外科患者における血清GDF-15、ミオスタチンとサルコペニアとの関連についての検討. (2022)
  • 著者名/発表者名: 西川理壱、中島敏明、福田平、春山亜希子、柴崎郁子、有川拓男、小尾正太郎、天野裕久、佐久間理吏、阿部七郎、福田宏嗣、井上晃男、豊田茂
  • 学会等名: 第70回日本心臓病学会学術集会（2022.9.23-25, 京都）
• [学会発表] 心臓血管外科手術患者の術前血清GDF-15、ミオスタチン濃度とサルコペニアとの関連について. (2022)
  • 著者名/発表者名: 福田平、西川理壱、春山亜希子、柴崎郁子、山口すおみ、八木博、福田宏嗣、豊田茂、中島敏明
  • 学会等名: 第7回日本心臓リハビリテーション学会関東甲信越支部地方会（2022.10.8, 東京Web開催）
• [学会発表] サルコペニアのマーカーとしてのGDF-15，ミオスタチン－心臓外科術後患者における検討－. (2022)
  • 著者名/発表者名: 西川理壱、中島敏明、福田平、春山亜希子、柴崎郁子、山口すおみ、有川拓男、小尾正太郎、天野裕久、八木博、佐久間理吏、阿部七郎、福田宏嗣、豊田茂
  • 学会等名: 第59回日本臨床生理学会総会（2022.10.21-22, 東京）
• [学会発表] フレイル及びサルコペニア判定と予防. (2022)
  • 著者名/発表者名: 福田平
  • 学会等名: 2022年度神奈川県立保健福祉大学ヒューマンサービス公開講座（秋期）講演（2022.10.22, 神奈川）
• [学会発表] Increased Neprilysin Expression Links Atrial Fibrotic Remodeling in Cardiovascular Surgery Patients. (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島敏明、春山亜希子、福田平、南健太郎、小尾正太郎、伊波秀、天野裕久、有川拓男、佐久間理吏、阿部七郎、柴崎郁子、福田宏嗣、豊田茂
  • 学会等名: 第87回日本循環器学会学術集会（2023.3.10-12, 福岡）
• [学会発表] Usefulness of Sarcopenia Diagnosis Using Femoral Anterior Muscle Thickness in Patients with Cardiovascular Disease. (2022)
  • 著者名/発表者名: 横町淳、中島敏明、福田平、山口すおみ、八木博、柴崎郁子、宇賀田裕介、佐久間理吏、阿部七郎、藤田英雄、福田宏嗣、豊田茂
  • 学会等名: 第87回日本循環器学会学術集会（2023.3.10-12, 福岡）
• [学会発表] Association between Serum GDF-15, Myostatin, and Sarcopenia in Cardiovascular Surgery Patients. (2022)
  • 著者名/発表者名: 福田平、西川理壱、春山亜希子、柴崎郁子、山口すおみ、有川拓男、小尾正太郎、天野裕久、八木博、佐久間理吏、阿部七郎、福田宏嗣、豊田茂、中島敏明
  • 学会等名: 第87回日本循環器学会学術集会（2023.3.10-12, 福岡）