研究課題
がん性心筋障害に対する栄養介入は、がん診療において重要性が増している。われわれは、2022年度には、ラウリン酸(C12)に加えて、カプリル酸(C8)とカプリン酸(C10)の3種の中鎖脂肪酸を用いて、がん悪液質由来心筋障害に対する栄養介入による効果を検討した。その結果、カプリル酸は単独投与にて抗腫瘍効果と心筋保護作用を示すこと見出した。本研究では、がん悪液質の一因とされるサイトカインの観点から、カプリル酸の作用機序を検討した。ラット悪液質モデルにおける、血漿中のケトン体および炎症性サイトカイン濃度を分析したところ、カプリル酸投与群ではケトン体濃度は有意に増加し、TNF-αおよびHMGB1の炎症性サイトカインは減少していた。カプリン酸あるいはラウリン酸投与群ではHMGB1で減少は認められなかった。担癌患者における血中濃度相当のIL-6、TNF-α、および、HMGB1を単独処理した心筋細胞株H9c2では、HMGB1処理でのみ増殖抑制効果を認めた。さらにミトコンドリア量の減少、活性酸素種の増加、過酸化脂質の増加を認め、心筋ミトコンドリア障害が生じていた。以上より、がん悪液質状態におけるカプリル酸摂取はケトン体産生とHMGB1抑制を介した抗炎症作用により、心筋保護に寄与する可能性が示唆された。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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