研究課題/領域番号 |
20K11263
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
角田 亘 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (00453788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳卒中 / リハビリテーション / 片麻痺 / 脳波検査 |
研究実績の概要 |
本研究では、片麻痺を呈する脳卒中患者(すでに亜急性期となっており、当院回復期リハビリテーション病棟に長期的リハビリテーション施行目的で入院した患者とする。意識障害や認知症がある患者は含まない)を対象として経時的(入院直後と入院1か月後)に脳波検査(国際10-20法)を施行、その結果をコヒーレンス解析(日本光電社による脳波解析ソフトを使用して、パソコンで解析を行う)することで各大脳皮質間の神経連絡性の程度を評価する(コヒーレンス値が大きいほど、神経連絡性が強いものと考える)。そして、入院下でのリハビリテーションによる片麻痺の回復程度と神経連絡性の変化との相関を検討する。現時点ですでに脳卒中患者12人(平均年齢75歳)に対して複数回の脳波検査の施行を終えている。その結果として、①健側大脳と比して病側大脳で全体的に大脳皮質間の神経連絡性が有意に小さいこと、②運動機能の回復に伴って病側大脳における大脳皮質間の神経連絡性が有意に大きくなることを統計学的に確認した。特にF3-F7間およびF4-F8間のコヒーレンス増加量と、F7-T3間およびF8-T4間のコヒーレンス値増加量は、FMA点数で評価される片麻痺回復の程度と有意な相関を示していた。これより、脳卒中患者における片麻痺の回復は、病側大脳における神経連絡性の高まりが関与しているものと推察された。本研究結果については、すでに英語論文としての執筆を終えており、近日中に英文雑誌に投稿予定である(脳卒中関係の、もしくはリハビリテーション医学関係の英文雑誌に投稿する)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的順調に対象患者を集めることができており、脳波解析についても適切に解析ソフトが作動している。
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今後の研究の推進方策 |
前述のごとく、すでに対象が10人以上集まっており、運動機能回復に伴って病側大脳の大脳皮質間のコヒーレンス値が変化することが確認された。しかしながら、入院後1か月の時点以降におけるデータは得られていない。よって今後は、入院後3か月の時点などに3回目の脳波検査を行い、より長期的な変化を検討する予定である。同時に、本研究で得られた結果について英語論文の投稿準備を進める。ただし、現時点においては、いまだ症例数が決して十分ではないので、今後にさらに症例を集めたい(症例数を増やしたい)と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症蔓延のために、学会発表が遅れている(学会発表にかかる旅費などが消費されていない。特に国際学会で現地で発表をする機会が全くなかった)。
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