回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中後片麻痺患者(てんかんの既往なし、重度の認知機能障害なし。片麻痺の程度は中等度~軽度)を対象として、経時的に(入院時とその4週間後の2回)デジタル脳波検査を施行、各大脳皮質間におけるcorrelation coefficient(機能的神経結合の強さを示唆する値と解釈されている)を測定した。そして、各皮質間におけるcorrelation coefficientの経時的な変化の程度と片麻痺回復の程度の相関を統計学的に検討した。なお、対象は入院中の4週間は連日で理学療法などのリハビリテーション訓練を施行された。 結果として、片麻痺の回復に伴って病側大脳内におけるいくつかの皮質間correlation coefficientが有意に増加していることが確認された。特に、病側前頭葉内の皮質間(F3-F7間もしくはF4-F8間)correlation coefficientの増加の程度が、片麻痺回復の程度と有意に相関していることが示された。これらより結論として、リハビリテーション訓練によってもたらされる病側大脳前頭葉内における皮質間神経結合の増強が、片麻痺の回復につながるものと推測された。 さらに、入院時に測定された運動タスクによるcorrelation coefficientの変化の程度(特に病側大脳皮質における値)が、その後における(4週間の入院中における)片麻痺の機能回復の程度を予測することも示された。すなわち、デジタル脳波計によるcorrelation coefficientの測定が予後予測にも応用可能であることが示されたこととなる。
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