令和4年度は、主に前年度に実施した実験2(2型糖尿病誘因の骨脆弱化に対する全身振動刺激の進行抑制効果)のデータで収集、測定・解析できていなかったものを測定・解析した。実験2では2型糖尿病モデルラットの実験開始時(20週齢)の非空腹時血糖値は300mg/mL以上の高血糖状態にあった。対照群に比して糖尿病群、振動群では海綿骨量低下と海綿骨(脛骨近位端)構造、皮質骨構造(脛骨骨幹部)の劣化を示し、機械的骨強度も低値であった。また、糖尿病群、振動群では血糖値、HbA1cは対照群よりも高値を示した。2型糖尿病モデルラットへの全身振動刺激は骨脆弱化進行予防に対して有効性は認められなかった。これらのデータを再度検証し、学会発表、論文作成の準備を進めていく予定である。実験1(2型糖尿病誘因の骨脆弱化に対する全身振動刺の予防効果)では、2型糖尿病モデルラットの実験開始時(6週齢)の非空腹時血糖値は200mg/mLを超えていなかった。対照群に比して糖尿病群、振動群では海綿骨量低下と海綿骨(脛骨近位端)構造、皮質骨構造の劣化を示した。一方、機械的骨強度は対照群に比して糖尿病群は有意に低値を示したが、振動群では低値であったものの有意ではなかった。また、血糖値、HbA1cは糖尿病群、振動群で対照群よりも高値を示したが、振動群は糖尿病群よりも低値傾向にあった。2型糖尿病モデルラットへの全身振動刺激は骨脆弱化予防に対して有効は認められなかったが、全身振動刺激は血糖値の上昇、機械的骨強度の低下を遅らせる可能性が示された。これらの結果は学会発表予定(演題採択済)であり、論文投稿の準備をしているところである。
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