研究課題/領域番号 |
20K11276
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
李 相侖 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 室長 (90466194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ライフイベント / フレイル / 認知機能 / 脳萎縮 |
研究実績の概要 |
認知症の危険因子としてライフイベントのような社会心理的環境の影響が考えられているが、どのようなライフイベントが高齢者に発生し、その関連要因については、明らかにされていない。特に、負の健康状態となる発症時期の差をもたらす一因としては高齢者のフレイル状態等、健康状態による対処の違いが考えられるが、エビデンスは少ない。さらに、ライフイベントの発生が脳萎縮および認知機能の変化にどのような影響を及ぼすかについては、科学的根拠が乏しい。 そこで本研究では、大規模高齢者機能健診を用い、高齢者におけるライフイベントの関連要因およびフレイルとの関連を明らかにする。また、ライフイベントのパターン(内容、量)と脳萎縮、認知機能変化との関連を縦断的に検討する。これらの解析により、心理社会的ストレスの関連要因を示すことができ、介入対象者へのアプローチ方法の提案が可能と考えられる。 本研究は令和2~4年度の3年間で実施予定である。1年目、2年目にデータ測定、2年目から3年目にデータ構築、研究成果を発信する。1年目である今年度は、高齢者機能健診を用いたデータ測定および構築が目標であった。検査実施期間中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、緊急事態宣言、蔓延防止対策が出され、一時期には検査を延期することになった。しかし、関連自治体との密接な連絡、日程調整の相談等の連携、また、徹底的な感染症予防対策により、6000名以上に対する検査を実施することができた。今後、引き続きデータ測定を行うとともに、データ構築を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目である今年度は、データ測定および構築が目標であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による緊急事態宣言、蔓延防止対策により検査が延期になった時期もあった。しかし、関連自治体との連携、日程調整などによる検査体制を整えた。また、徹底的な感染症予防対策により、無事実施している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は令和2~4年度の3年間で実施予定である。1年目、2年目にデータ測定、2年目から3年目にデータ構築、研究成果を発信する。 研究1:【地域在住高齢者を対象とし、ライフイベントの関連要因およびフレイルとの関係】に関しては、高齢者の身体や認知機能検査(実測)、ライフイベントを含んだ各種アンケートを用いた高齢者機能健診を実施する。研究2:【ライフイベントの発生と脳萎縮との関係】は、平成28年度にMRIと認知機能検査等の事前検査を受けた1,060名のうち、4割程度の追跡ができ、MRIと認知機能検査等の検査を実施した。今後、引き続きデータ測定を行うとともに、データ構築を実施する。フレイルはFriedの基準に準じる。脳画像に関しては、認知症発症リスクとしての認知機能低下との関連をSPMやFreeSurferを用いて脳萎縮との関係を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
目標人数は達したものの、緊急事態宣言等による遅延により、情報発信やデータ構築のための基盤整備ができなかった。今年度、統計プログラムや機材整備等による基盤整備を行うとともに、データ整理のための人材を確保し、データ構築の基盤整備を行う。また、新型コロナウイルス感染症対策を徹底的に行い、継続的に検査を実施する。
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