研究課題/領域番号 |
20K11278
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
竹内 直行 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (10374498)
|
研究分担者 |
照井 佳乃 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (30806344)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 社会性 / リハビリテーション / 認知症 / 運動訓練 |
研究実績の概要 |
本研究は脳内ネットワーク操作が可能な新しい脳刺激手法を用い運動麻痺や精神疾患に対する治療方法を開発することが目的である。運動麻痺やうつ病の治療に使用されている従来の単一部位の興奮性を変化させる磁気刺激や電気刺激などの脳刺激は、広範な脳内ネットワークにより生み出される複雑な認知機能や社会性機能への介入効果は不十分であり、この問題に対し新たなアプローチ法が切望されている。外部刺激で脳振動を変動し離れた領域の脳活動をシンクロさせ刺激部位間の情報処理効率を強化し、リハビリテーション効果の増大およびこの手法を発展させることで記憶・認知機能障害の治療の臨床応用を目指す。運動学習の研究から、片手の運動学習後に対側の手にも運動学習効果が波及することが知られている。この現象は両側性転移と呼ばれ、運動学習に対応する運動野から脳梁を介し、対側の運動野にも運動学習効果が波及し、運動学習を行っていない手にも運動学習が得られると考えられている。しかし、運動学習前後の脳活動変化から両側運動野間の機能的な結びつきを推測するにとどまり、両側運動野間のネットワークを人工的に変動させ、両側性転移の変化を評価することで、両側運動野間の機能的結合と両側性転移の因果関係を明らかにした検討は行われていなかった。そのため健常者を対象とし、3つの刺激条件(同位相20Hz、同位相70Hz、シャム刺激)をランダムに割り当て、鏡像課題訓練中に両側運動野を刺激し、刺激前、刺激後、翌日に運動機能を評価した。20Hz、70Hz条件は右手の訓練後の左手への両側性転移を刺激直後に促進させ、20Hzにおいては翌日にも効果が持続していた。本研究からこの刺激手法は運動障害に対するリハビリテーションに応用できる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳内ネットワークを操作する刺激手法で運動学習の促進ならびに模倣能力を向上させる研究を遂行した。両側運動野ならびに頭頂部と前頭部間をターゲットとする手法を開発し結果をまとめ発表を行った。脳内ネットワークに対する刺激手法を応用し認知機能対する研究を進めているが、コロナによる人との接触制限により研究遂行が停滞している。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナの感染状況を見ながら、研究を遂行していく。他者間の脳間コミュニケーションを考慮した脳振動刺激を実施し、人の向社会性を人工的に操作する新しいアプローチ開発を目的とした研究を進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため研究遂行に後れを生じたため。
|