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2022 年度 実施状況報告書

頸髄損傷後の肋間筋機能回復と胸壁振動刺激リハビリテーション作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K11285
研究機関茨城県立医療大学

研究代表者

冨田 和秀  茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00389793)

研究分担者 瀬高 裕佳子  茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (20404767)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード脊髄損傷 / 脊髄半切 / 肋間筋麻痺 / 肋間筋 / α-γ連関 / 緊張性振動反射 / Tonic vibration reflex / 呼吸リハビリテーション
研究実績の概要

1)頚髄半切後の肋間神経の回復過程
これまでの研究で成猫を用いて、脊髄半切により一側肋間筋に運動麻痺を惹起する呼吸運動障害モデルを作成した。術直後より片側肋間筋の呼吸運動が消失した。術後3ヵ月間の経過を観察し、徐々に呼吸運動が回復する事を明らかにした。しかしながら脊髄損傷後の肋間筋ではγ運動ニューロンを支配する上位中枢からの経路が断たれており、肋間筋を緻密に制御する神経制御機構であるα-γ連関が正常に機能しているかは不明であった。そこで頚髄半切後の肋間神経のα-γ連関を検証するために、実験標本の作成に取り組んできた。麻酔下かつ人工呼吸下で、胸髄半切ネコで損傷側の肋間神経からα運動神経とγ運動神経線維の活動電位を記録した。下部肋間の外肋間神経ならびに内肋間神経の複合活動電位には振幅が大小のものが混在していることが分かった。当該年度では肋間筋を支配する肋間神経のうち, 主に内肋間神経から筋紡錘を支配するγ運動神経線維と筋線維を支配するα運動神経線維から活動電位を記録し、内肋間神経から複合活動電位を記録できた。これらの実験データをもとに、単一活動電位を分離させる記録手法や得られた活動電位から伝導速度を測定する新たな実験手法の検討を進めている。

2)胸壁振動刺激による呼吸リハビリテーション
先行研究において頸髄損傷後の麻痺した肋間筋に胸壁刺激振動を与えると胸壁振動反射が誘発され肋間筋の筋収縮が起こることが報告されている。しかしながら呼吸に同期して吸息性肋間筋と呼息性肋間筋に振動刺激を与える機器が市販されていない状況であった。そこで当該年度では呼吸流速を振動刺激のトリガーとし吸息と呼息に合わせて自動的に振動刺激を与える胸壁振動刺激システムの開発に取り組んだ。開発した胸壁振動刺激システムは吸息相及び呼息相の高い振動同期率であり、胸部変位速度が増大し呼吸流速が増加することを確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験動物を用いた肋間神経のα-γ連関を解析できる標本の作製に時間を要した。

今後の研究の推進方策

〇脊髄半切慢性動物の作成:脊髄半切による片側肋間筋呼吸運動障害モデルのn数を増やす。脊髄半切動物の手術後1か月間、自由行動をさせ脊髄半切による運動障害の回復程度を観察する。手術前後の呼吸機能を無拘束呼吸機能解析装置で測定し,脊髄半切後の呼吸機能回復を調べる。頸髄損傷後の1・3か月後に両側肋間筋の第1肋間から第12肋間の外肋間筋及び内肋間筋の背側部から腹側部まで針電極で運動単位を記録し,肋間筋の回復分布について調べる。

〇脊髄半切実験動物での肋間神経のα-γ連関の解析方法の確立:術後3~4ヵ月後、胸髄半切ネコで損傷側の下部肋間の外肋間神経ならびに内肋間神経の複合活動電位が記録する。今後、得られた活動電位から伝導速度などの解析を行う予定である。これらの解析により、脊髄損傷後に回復した肋間筋が正常な呼吸運動として獲得できているかを検証する。

〇脊髄損傷後の肋間筋麻痺に対する胸壁振動刺激の作用機序の解明:頚髄損傷後の麻痺した肋間筋ではα-γ連関の破綻が推察されるが、胸壁振動刺激がTonic vibration reflexを誘発する機序を解明する。

次年度使用額が生じた理由

次年度において、頚髄半切による肋間筋呼吸運動障害モデルを作製し、肋間神経のα-γ連関を解析する追加実験を行う必要があるため。

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公開日: 2023-12-25  

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