研究課題/領域番号 |
20K11288
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
内藤 泰男 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (40342224)
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研究分担者 |
石井 良平 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (40372619)
石川 健二 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 准教授 (40614649)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高次脳機能障害 / 軽度頭部外傷 / eLORETA connectivity解析 / 神経心理学的検査結果 |
研究実績の概要 |
本研究では、頭部外傷患者へのリハビリテーションに応用するために、社会的認知機能を含めた認知機能障害の病態生理を、脳内ネットワークを形成する動的なメカニズムとして生理学的な視点で理解し、定量化することを目的に検討を行った。初年度では、健常被験者20名と頭部外傷患者20名に対して、精神症状、社会機能、脳形態機能画像、認知機能障害などを網羅的に評価することを予定していた。しかしながら、臨床データは、コロナウイルス感染拡大の影響により引き続き取得が困難な状況であったことから、Open sourceデータを用いて、解析を進めた。 令和3年度は、令和2年度に引き続きOpen sourceであるJames F. Cavanaghらの軽度頭部外傷者(mTBI)の脳波データおよび、神経神学的検査データ(神経行動学的徴候質問紙、ベックうつ尺度、前頭葉行動評価尺度(FrSBe)、Rivermead記憶検査のTotalスコア、ウエクスラー成人知能検査第4版(WAIS-IV)の Digit Span and Coding subtestsを解析している。また脳波の解析では、軽度頭部外傷者と正常対象者データのFFT (fast Fourier transform)、ウェーブレット変換(Wavelet transform)、ICA(independent component analysis:独立成分分析)といった基本的な時系列解析およびeLORETA解析を用いて解析中である。これらの解析から、最も効率よく健常被験者群と頭部外傷群の間で活動の差を見出しうる関心領域とその部位を決定するべく、脳波データを定常脳波の解析方法であるeLORETA connectivity解析を用いた機能的連結性の評価結果と基本属性データおよび神経神学的検査データとの関連性を確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度では、健常被験者20名と頭部外傷患者20名に対して、精神症状、社会機能、脳形態機能画像、認知機能障害などを網羅的に評価することを予定し、引き続きデータ取得を試みていたものの、コロナウイルス感染拡大により協力者数の増加ははかばかしいものではなかった。 Open sourceであるJames F. Cavanaghらの軽度頭部外傷者(mTBI)の脳波データと、各種神経神学的検査データとの関連性を解析している。特に脳波の解析では、軽度頭部外傷者と正常対象者データのFFT (fast Fourier transform)、ウェーブレット変換(Wavelet transform)、ICA(independent component analysis:独立成分分析)といった基本的な時系列解析およびeLORETA解析を用いて解析中である。本年度の解析によって意識消失期間と脳波の基本的な時系列解析結果の関連性はないことがわかった。現在、その他の対象者の予後に関連する各種神経心理学的検査結果と脳波の関連を解明するために、基本的な時系列解析eLORETA解析を用いて解析している。 臨床データの取得が、2020年度はコロナウイルス感染拡大により困難となっているものの、Open sourceデータの解析を用いて、事前に予備的に解析を進めることで、今後取得予定である臨床データの解析の基本となるモデルを構築する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は、健常被験者20名と頭部外傷患者20名に対して、精神症状、社会機能、脳形態機能画像、認知機能障害などを網羅的に評価することを引き続き進める。その際には脳波を用いて、聴覚定常応答課題(SSR:steady-state response)、P50、PPIなどの短中潜時の感覚受容反応から、MMN (mismatch negativity)、P300、N400などの長潜時の高次認知機能反応までを測定する。脳波の解析では、FFT (fast Fourier transform)、ウェーブレット変換(Wavelet transform)、ICA(independentcomponent analysis:独立成分分析)といった基本的な時系列解析およびeLORETA解析を用いての解析を引き続き行う。 また、コロナウイルス感染拡大状況により、症例数の蓄積が進まない場合は、Open sourceであるJames F. Cavanaghらの軽度頭部外傷者(mTBI)の脳波データおよび、神経神学的検査データの解析を通して、脳波データを定常脳波の解析方法であるeLORETA connectivity解析を用いた機能的連結性の評価結果と基本属性データおよび神経神学的検査データとの関連性の確認を行う。これらの解析から、最も効率よく健常被験者群と頭部外傷群の間で活動の差を見出しうる関心領域とその部位を決定する
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、コロナウイルス感染拡大状況により臨床でのデータ収集活動が停滞していた。Open sourceの臨床データ解析を中心に検討を進めてきた。このため次年度使用額は、令和4年度の臨床データ取得に向けて使用することを計画している。
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