研究課題
本研究の目的は、頭部外傷によってもたらされる社会的認知機能を含めた認知機能障害の病態を、動的な脳内ネットワークを形成するメカニズムとして生理学的な視点で理解することである。脳波を測定し、高い時間・空間・周波数分解能を持つ脳波解析法を用いて、脳内ネットワーク神経基盤の異常と社会的認知機能を含めた神経心理学的な認知機能、脳構造画像、臨床症状との相関を解析する。頭部外傷により出来する社会的認知機能の障害を、脳内神経回路のネットワークの時空間パターンの障害として定量的に描出することで、個別の頭部外傷患者の障害ネットワークにあわせたより科学的な認知リハビリテーションのための客観的な評価法の開発と効果的な実践の基盤を見出すことを目指した。本研究では、健常被験者20名と頭部外傷患者20名に対して、精神症状、社会機能、脳形態機能画像、認知機能障害などを網羅的に評価する。脳波を用いて、聴覚定常応答課題(SSR:steady-state response)、P50、PPIなどの短中潜時の感覚受容反応から、MMN (mismatch negativity)、P300、N400などの長潜時の高次認知機能反応までを測定した。脳波の解析では、FFT (fast Fourier transform)、ウェーブレット変換(Wavelet transform)、ICA(independent component analysis:独立成分分析)といった基本的な時系列解析およびeLORETA解析を用いて解析した。特にICAの解析から頭部外傷群の間で活動の差を見出しうる関心領域が、青木らが定義したMemory perception networkと認知機能検査のdelayed recallとの逆相関を示した。記憶にかかわるネットワークのtoxic consequencesを示していると推察した。
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Frontiers in Human Neuroscience
巻: 17 ページ: ー
10.3389/fnhum.2023.1145282
Cognition & rehabilitation
巻: 3 ページ: 35-41
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