研究課題/領域番号 |
20K11290
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
早坂 友成 杏林大学, 保健学部, 准教授 (50406261)
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研究分担者 |
坪井 貴嗣 杏林大学, 医学部, 准教授 (00445404)
長島 泉 杏林大学, 保健学部, 助教 (20713548)
渡邊 衡一郎 杏林大学, 医学部, 教授 (30230957)
高江洲 義和 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90421015)
櫻井 準 杏林大学, 医学部, 講師 (40573267)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 難治性うつ状態 / うつ病 / 双極性障害 / 神経発達症 / 不安症 / 精神科作業療法 / 行動評価 / 多職種チーム |
研究実績の概要 |
本研究では,申請者らが実施している,難治性うつ状態(TRD)を呈する患者を対象とした1週間の検査入院(TRD検査)の診療録とTRD検査後の社会生活遂行状況,病相再燃と再発に関する縦断的調査から,TRD患者の特性を検討し,予後を予測するためのリスク因子をTRD検査から同定する.そのために,次のことを明らかにしていく. (1)TRD患者の身体疾患および精神疾患の特徴はどのようになっているか (2)心理社会的機能が病相再燃および再発にどのように影響しているか (3)TRD検査で得られた所見は病相再燃と再発のリスクを予測できるか (4)TRD検査で得られた病相再燃と再発の予測因子は再発予防の支援に活用できるか 2022年度では,2021年度から引き続き,新規のTRD患者の検査受診を1週間に1名受け入れながら,これまでにTRD検査で得たTRD患者の病態および行動特徴の所見を用いて後方視的研究を継続し,各検査および各評価項目の相互関係を分析した上で,TRD患者の特性を具体的に解明することを目指した.その結果,2022年度上半期では,2021年度の結果を踏まえ,これまでに受診した全ての患者の所見から,TRD患者の病態特徴と行動特徴の関連性を分析した.検査および評価の内容は,1)属性調査,2)身体検査,3)SCID-I,4)SCID-Ⅱ,5)MADRS,6)YMRS-J,7)BACS-J,8)HTPテスト,9)WAIS-Ⅳ,10)終夜睡眠ポリソムノグラフ検査,11)精神科作業療法による行動評価であり,これら11項目を用いてTRD患者の属性表を更新した.2022年度下半期では,各検査間の関連性は統計解析によって相互関係を分析し,TRD患者と各検査の重症度の関連性を検証した.これらの結果は,日本不安症学会,日本うつ病学会,日本うつ病学会,日本作業療法学会などで発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度においてもCOVID-19の影響を受け,目標であった120事例の情報収集を達成させることができなかった.2023年度は対象であった患者の受診スケジュールを再調整し,集積の収集に努める.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は前期までには約120事例を確保する.これらの対象者には縦断的調査を実施する.対象者には質問紙による調査を6ヶ月毎に2年間実施し,社会生活における遂行状況および病相再燃と再発に関する実態調査を行う.調査のための質問紙は郵送し期間内に返信させる.期間内に返信が確認できなかった対象者には,電話にて回答の意思の有無を確認し,調査回答の返信を改めて依頼する.得られたデータの解析では,対象者を病相再燃を認めた患者,再発を認めた患者,再燃再発を認めない対象者を群分けし,社会生活遂行状況とTRD検査所見との相互関係を分析する.また,TRD患者と健常人との比較からこれらの結果からは,病相再燃および再発を予測できるリスク因子を抽出し,TRD患者の治療における活用を試みる.2022年度もCOVID-19の影響を受け,健常人の調査が遅れているため,迅速に実施し,得られた成果の発表は学会および学術誌にて行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の校正費や学会にて発表するための旅費として使用する.
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