研究課題/領域番号 |
20K11291
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
礒 良崇 昭和大学, 医学部, 准教授 (60384244)
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研究分担者 |
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 教授 (20276546)
鈴木 洋 昭和大学, 医学部, 教授 (90266106)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心臓リハビリテーション / 心不全 / microRNA / 高齢者 |
研究実績の概要 |
慢性心不全における心臓リハビリテーションは、運動耐容能やQOLの改善に有用であるが、高齢者心不全ではエビデンスが乏しい。理由の一つとして、治療効果判定の評価系が不十分であるためと推測される。末梢循環中マイクロRNAは、疾患や治療効果判定のバイオマーカーとしての可能性が注目されている。心臓リハビリでは、CPXでのみ運動耐容能・換気効率と言った心肺代謝コンディション指標・予後指標が評価可能であった。マイクロRNAを応用し新たな診断ツールとすることにより、簡便な血液検査のみで評価し得るかもしれない。 本研究では、高齢者心不全における心臓リハビリテーションの効果予測法開発のため、マイクロRNA181c発現量測定の有用性を検証することを目的とした。 昨年度は、予備試験結果をまとめて報告した。急性心筋梗塞では心臓リハビリが中期予後に有効であり、その機序のひとつが最高酸素摂取量の改善であることを確認した。また、急性心筋梗塞患者において、マイクロRNA181c発現レベルは心肺運動負荷試験で測定した最高酸素摂取量・換気効率と関連することを明らかにした。 本年度は、下に記したように進捗の遅れがあり、症例の登録を順次進めながら、後方視的に高齢者心不全への心臓リハビリの転帰への効果を検証した。急性心不全後のクリニカルフレイルスケール≦4(ADL自立)を対象に検討した。回復期心臓リハビリ参加率は23%であった。心臓リハビリ参加群は非参加群と比較し、有意に全死亡+再入院の複合イベントが抑制されていた。非参加の要因は、急性期入院期間が短い・急性期心リハの非実施であった。考察としては、入院経過良好患者群が心臓リハビリに参加せず中期予後に影響があったと考えられ、経過に関わらず心臓リハビリの導入が望まれた。次年度はサンプル解析を一斉に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、患者を対象とした探索型臨床観察研究である。昨年度同様に、新型コロナウィルス感染流行による研究実施医療機関での診療体制の変更などがあり、一時的ではあるが、対象となる症例確保と研究実施が困難な期間があったため。
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今後の研究の推進方策 |
上記状況のため、研究の骨格となる部分は進捗は制約があった。そのため、概要に記載したように本研究の背景をさらに固めるための研究を同時にすすめることとした。現在、制約はあるものの順次対象症例は増加しており、臨床評価は行えている。次年度に、保存血清をまとめて、マイクロRNA測定を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染流行に伴い、研究に制約が生じている。しかしながら、順次対象症例は累積しており、次年度に、保存血清を一括してマイクロRNA測定を実施する予定である。
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