本研究の目的は,経頭蓋交流電気刺激は記憶能力の個人差によって効果に違いがあるのかについて検討し,新たな認知機能低下抑制プログラムの開発を行うものである.非侵襲的脳刺激法を用いた新しい記憶強化の可能性を探り,対象者の記憶能力の個人差に対する効果の違いを明らかにする. 令和3年度は、経頭蓋交流電気刺激を用いて周波数帯域の違いによる検討を行った。本研究では、健常若年被検者を対象に、左背外側前頭前野上に対する周波数帯域が5Hzと60Hzの経頭蓋交流電気刺激による介入が、偽刺激のみと比較して、エピソード記憶課題に変化をもたらせるか否かを比較した。結果、60Hz周波数帯域による刺激が、偽刺激および5Hz周波数帯域による刺激と比べてエピソード記憶課題のパフォーマンスが保持されることが明らかとなった。
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