研究課題/領域番号 |
20K11298
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研究機関 | 四條畷学園大学 |
研究代表者 |
松木 明好 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 教授 (20624026)
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研究分担者 |
森 信彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (20833924)
板東 杏太 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 身体リハビリテーション部, 理学療法士 (40860870)
菊地 豊 公益財団法人脳血管研究所, その他部局等, 研究員(移行) (50516763)
中野 英樹 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (60605559)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小脳 / 大脳 / 機能的連結 / リハビリテーション / 運動学習 / 運動制御 / 非侵襲的脳刺激 |
研究実績の概要 |
小脳と大脳の機能的連結を評価し強化するリハビリテーション手法を開発するための基礎的知見を得るために複数の実験(1~3は若年健常者、4は脊髄小脳変性症(SCD)症例および年齢マッチした高齢者を対象)を行い、以下の成果を得た。 (1)片側小脳半球への低頻度反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)によって、小脳抑制は減弱するが筋収縮に伴う対側皮質脊髄路興奮性促通は何も影響を受けないことを明らかにした。 (2)直立位での自己重心位置を用いた視覚誘導性の標的追従課題で生じる運動学習が、小脳への低頻度rTMSによって阻害されるが、不随意に制御される姿勢安定性には何も影響しないことを明らかにした。 (3)手関節屈伸を用いた急速視覚標的到達運動を反復すると、運動が上手くなる(反応速度や最大運動速度、到達誤差が改善する)が、小脳へのrTMSによってその学習効果が抑制されることを明らかにした。 (4)高齢健常者において、運動野単発TMS後に出現する皮質性サイレントピリオド(cSP)は手関節運動を用いた急速視覚標的到達課題のパフォーマンスと相関する。しかし、SCD症例ではこのcSPが健常者より有意に長いにもかかわらず、急速到達運動のパフォーマンスは悪く、また健常者と同様の相関関係は認められなかった。つまり、SCD症例では、急速運動課題のパフォーマンスと関連する運動野内抑制性神経回路の機能は一見増強されているが、運動のパフォーマンスに活かされていないことが明らかとなった。また、このcSPは運動失調の指標(SARA)とも相関しないことが明らかとなった。 以上より、小脳へのrTMSは全身運動や手関節運動の学習効果を操作する可能性があるが、小脳と運動野の機能連携を強化し運動学習効果を増強するためには、非侵襲的脳刺激を適用する部位やパラメータをさらに検討する必要がある。
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