研究課題/領域番号 |
20K11302
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木内 敦詞 筑波大学, 体育系, 教授 (40241161)
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研究分担者 |
歳森 敦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (80222149)
川村 卓 筑波大学, 体育系, 准教授 (30334056)
奈良 隆章 筑波大学, 体育系, 助教 (10598890) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スポーツ・ライフ・バランス / キャリア成熟 / 大学生アスリート / セルフマネジメントスキル / チーム組織風土 |
研究実績の概要 |
研究1から4で構成される本研究課題のうち,2年目の2021年度は,研究2(学生アスリートのキャリア成熟に影響を及ぼすセルフマネジメントスキルの抽出)に着手した。筑波大の野球部および蹴球部の部員に加え,筑波大野球部と交流のある他大学野球部員を対象に,webによる調査を行なった。竹村ほか(2013)によるスポーツ・セルフマネジメントスキル 尺度の他,研究1年目の2020年度に得たキャリア成熟度(坂柳,2019)、運動部活動経験(島本・石井,2008),組織風土(尾関・ 吉田,2007)と併せて統計解析を行った。共分散構造分析の結果,部の組織風土や部活動での経験はキャリア成熟に直接的には正の影響を及ぼさず,セルフマネジメントスキルの獲得を経て間接的に有意な正の影響を及ぼすことが示唆された。重回帰分析の結果,部の組織風土(管理性・開放性)による経験と部活動での能動的な経験(自己開示、挑戦達成、努力忍耐)が,セルフマネジメントスキルの獲得に有意な正の影響を及ぼすことが示唆された。また,自身の人生設計に影響を与えた大学期の経験を問う自由記述では,「チームへの貢献」「誠実的態度」といった態度的側面の経験を挙げるアスリートが最も多いことがわかった.1年間でのキャリア成熟向上群は非向上群よりも,「自己開示」「挑戦達成」の経験スコアが有意に高かった。以上の結果は,学生アスリートのキャリア発達を見据えた部活動指導にセルフマネジメントスキルの獲得を位置付ける根拠を提供するとともに,運動部活動に内包されるセルフマネジメントスキル獲得に寄与する具体的な経験を提示するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目において調査できなかった研究2の課題である「セルフマネジメントスキル」とキャリア成熟の関係性を整理することができた。当初予定していた研究1および2を2年間で進め,昨年の遅れを取り戻すことができたことから,「おおむね順調に進展している」と判断した。これは,昨年の「今後の研究の推進方策」で挙げた内容(データ回収率向上を意図した調査協力者への謝礼の付与や,データ解析の人件費に予算を充当すること)が功を奏したものと捉えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では,研究3年目の2022年度の研究3では,研究2で示唆された知見「大学運動部活動での経験はキャリア成熟に直接的には正の影響を及ぼさず,セルフマネジメントスキルの獲得を経て間接的に有意な正の影響を及ぼすこと」の妥当性を,他の種目,他の大学のアスリートを対象とした調査から検証することとしていた。これをインターネット調査会社に調査依頼をしデータを獲得する場合,2022年度に配当される研究費では対象者数が200名程度にとどまり,研究1および2で得られた仮説の一般化可能性を検証するための対象者数に届かないことわかった。そこで,研究3年目の2022年度の研究対象者を筑波大学所属の学生アスリートに限定し,謝礼のギフトカードで回収率を高めることで,千人規模の研究対象者数の確保をめざすこととする。研究対象を同一大学の学生に限定することは外的妥当性を損なう可能性を帯びている一方で,大学差によるデータのばらつきを最小限に抑えつつ,種目による差異の検討が可能になると思われる。
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