研究課題/領域番号 |
20K11306
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西 美幸 京都大学, 薬学研究科, 研究員 (60183894)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カルシウム / 小胞体 / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
MG23 大腿四頭筋や腓腹筋などと一括りに扱われる様々な筋肉は異なったミオシン重鎖サブタイプ(1種類もしくは複数)を発現する雑多な細胞の集団である。速筋と呼ばれる筋肉はミオシン重鎖IIタイプ発現細胞の割合が高く瞬発力に優れる反面、持続性に欠け疲労しやすい。一方遅筋と呼ばれる筋肉はミオシン重鎖Iタイプ発現細胞の割合が高く姿勢保持など持続的に機能している。 MG23は小胞体膜と核膜に存在する陽イオンチャネルであり、カルシウム透過性も確認されている。Mg23ノックアウトマウスの短趾屈筋(FDB muscle)を単離してCa2+動態を検討した。その後免疫染色によりミオシン重鎖サブタイプを決定し、Ca2+動態の結果と対応させた。一般的にマウス短趾屈筋のミオシン重鎖は約1割がIタイプ、残りにIIaとIIxが半々に存在している。Mg23ノックアウトマウス短趾屈筋は遅筋様のCa2+動態割合が高く、免疫染色においても、IIaタイプ混在の割合上昇が認められた。筋疲労の実験においてMg23ノックアウトマウスは疲労からの回復が速いという結果が得られた。Mg23ノックアウトマウス筋肉において遅筋よりの表現型が示されたが、今後の課題はこれらの表現型が、MG23の機能とどのように関わるかを示すことである。 TRICチャネルとMG53 我々が新規に見出したTRICチャネルとMG53については相互作用する分子としてそれぞれリアノジン受容体とインシュリン受容体が候補に上がっている。これらの分子との結合ついて生体分子間相互作用解析システムオクテットを使用して検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、共同研究に関しての遅延が生じている。 1.順天堂大学との共同研究 TRICチャネルとリアノジン受容体のタンパク質ータンパク質相互作用の共同研究を立ち上げたが移動自粛により中断してしまった。今後は、京都大学の共用研究機器を利用して再開する。 2.広島大学との共同研究 MG23に関する研究も中断していたが、研究者の広島大学から大阪国立循環器病センターへの移動と行動制限の緩和により今年度再開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.Mg23 ノックアウトマウスの筋疲労後の回復改善傾向をより強く観察するために、筋肉に伸張性収縮負荷(筋肉を伸ばした状態で電気刺激を与えて収縮させる)を与えて実験を行う。短趾屈筋を使っての実験では、小胞体Ca2+含量の比較や、現在9週齡で観察している実験の経時的変化についても観察する。 2.TRIC-AはRyRに作用してその働きを助ける役目がある。またMg23の機能解明は進行中であるが、カルシウムも透過できるカチオンチャネルであることがわかっている。従ってこれら2つのダブルノックアウトマウスは筋組織に興味深い表現型が生じる可能性があるため交配を開始した。 3.順天堂大学との共同研究でBiacoreを用いてTRICチャネルとリアノジン受容体との結合実験を実施したが、コロナ禍の状況で中断した。今後は京都大学共用機器である生体分子間相互作用解析システムOctetを用いて実験を再開する。Biacore 実験の場合TRICをセンサーチップに固定しRyR2タンパク質を流してその結合を観察した。TRICはアミノ酸約300、対してRyR2は約5000で20倍近くの差がある。小さなTRICの固定が生理的な結合を障害している可能性も考えられる。単純に同じバッファーでRyR2を固定しTRICを流すと同程度のTRICの非特異的な結合がRyR2(-)のセンサーチップでも観察された。従ってより結合を乖離するような条件を見出す必要がある。塩濃度をあげる、蛋白濃度を低くする、をはじめに検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で遅延した共同研究のための消耗品代、旅費を繰り越した。
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