研究課題/領域番号 |
20K11308
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中村 哲也 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (10712284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 体罰 / しごき / 監督制 |
研究実績の概要 |
・明治期から高度成長期における、日本の野球部内での体罰やしごき、および部の運営の実態を解明するために、野球選手の自伝、および、高校・大学・社会人チームの野球部史等の史料収集(自伝約100冊、部史約130冊)を行った。 ・しかし、当該年度における新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、国立国会図書館や、野球殿堂博物館図書室等、東京周辺の図書館・資料館での史料収集は、行うことができなかった。そのため、史料の存在は確認できているが、古本市場に流通していない史料については、収集・閲覧することができなかった。 ・収集した史料のうち、明治期、および、大正期の史料についてはおおむね読解を終えることができた。その結果、明治期から大正期の半ばごろまでは、野球部内における体罰やしごきは、ほとんど存在していなかったということを明らかにすることができた。日本の野球部内において、体罰が発生し、拡大していくのは、大正期の半ば(1920年代)以降のことであることが、史料に基づいて実証することができた。 ・1920年代以降に野球部内で体罰が発生・拡大した社会的背景には、野球の全国大会やリーグ戦の組織化、野球人気の拡大があり、そうした中で試合での勝利を目指して、各校の部内で監督の設置、部員数の増加、練習の激化・日常化、選手間の競争の激化といった運営方法の変化があったと思われる。 ・研究課題の進捗状況については、学会で研究発表を行うことを予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う関連学会の中止や日程変更、また、本務校における感染対策関連業務の多忙化により、2020年度は研究発表を行うことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、東京近郊の図書館・資料館における史料収集およびその閲覧を行うことができていない。しかし、現時点でも非常に多くの史料を収集できているため、研究の進捗状況という観点からは、特段大きな問題点はなく、おおむね順調に進展しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
・今後は、上記の収集史料のうちの昭和戦前期から占領期にかけての史料を中心にして読解・分析を進めていく。 ・また、明治・大正期については、野球部史や選手の自伝の内容を補完するとともに、同時代の第三者からの評価を踏まえることを目的として、『野球界』をはじめとした野球雑誌の収集・読解も進めていく予定である。 ・新型コロナウイルスの感染状況に配慮しつつ、可能な範囲内で東京近郊の図書館・資料館において、史料収集を行うことを予定している。ただし、緊急事態宣言の発令・延長等の状況によっては、調査の中止も含めて検討する。 ・研究の進捗状況に関して、スポーツ史学会等の関連学会で報告することを予定している。ただし、新型コロナウイルスの影響により、開催時期や方法について変更されることも予想されるため、発表学会については変更の可能性も視野にいれている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、当初予定していた史料調査や学会への参加及び研究発表をすることができなかった。そのため、これらに関連した旅費やコピー代等を支出することができなかったため、次年度使用額が生じることとなった。 今年度は、新型コロナウイルスの感染状況や緊急事態宣言の状況を踏まえて、感染拡大への配慮をしながら、可能な範囲で史料調査や学会への参加および発表を行う予定である。
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