研究課題/領域番号 |
20K11318
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
須永 美歌子 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70534064)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 低用量ピル / 女性アスリート / コンディショニング / 持久性パフォーマンス |
研究実績の概要 |
月経周期に伴うコンディションの変化を改善するための改善策として,経口避妊薬(OC)・低用量エストロゲン・プロゲスチン( LEP)配合薬(以下,低用量ピル)が使用される.近年,月経前症候群や月経周期の調節のため低用量ピルを服用による対策を希望するアスリートは増加傾向にある(中村,2017).しかしながら,低用量ピル服用時の副作用として,吐気,頭痛,むくみなどが報告されている(日本産科婦人科学会,2015).また,特に重篤な副作用として血栓塞栓症が挙げられ,循環器系への悪影響に伴う持久性パフォーマンスの低下を誘発する可能性も示唆される.近年,啓発活動がさかんとなり,今後は,トップアス リートだけでなく,様々な競技レベルの女性アスリートがコンディショニング方策として低用量ピルの服用を選択すると考えられる.一方,低用量ピル服用が持久性パフォーマンスに与える影響について検討した先行研究では,低用量ピル服用期に最大酸素摂取量が5-15%低下するという報告がある(Casazza GA et al., 2002).しかしながら,低用量ピル服用によって最大酸素摂取量が増加したという報告(Redman LM et al., 2005)や影響はないという報告(Vaolsaar et al., 2011)も散見され,結果は一致してない.この要因として,低用量ピルの配合パターン(一相性・三相性)やエストロゲン・プロゲステロン含有量の違い,研究デザインの違いなどが挙げられる).本研究では,①月経周期に伴うコンディションの変化は低用量ピル服用で改善されるのか?②低用量ピル服用は,持久性パフォーマンスに影響するのか?について検討し,女性アスリートのコンディショニング方策の確立をめざす.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,新型コロナウイルス感染症の拡大による影響のため,研究課題の遂行が困難な状況であった.そのため,文献検索による情報収集や質問紙の作成にとどまった. また,被験者は研究代表者の所属先の大学において女子学生を対象に募集しているが,低用量ピルを服用している者の割合が低いため難航した.
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今後の研究の推進方策 |
現在は実験ができる環境となっているため,当初の研究計画どおり,低用量ピル服用がコンディションの変化やパフォーマンスに与える影響について「現象的」(主観的)データに加えて,「生理・生化学的データ」(客観的)データを収集し,研究を推進していく.また,被験者は本学女子学生だけでなく広く募ることとする.本年度もさらなる新型コロナウイルスの影響を受けることを見越して,早めに実験を遂行することをめざす.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,当初の計画よりも実験の進行が遅れている.令和4年度は,測定補助に関わる人員を増やすなどして研究を推進していくが,研究の状況によっては延長の申請を行うことも考えている.
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