研究課題
月経困難症の改善および月経移動を目的として低用量ピル(OC)を使用する女性アスリートが増加している。OCは性ホルモン分泌を抑え、性ホルモン変動を抑制することによって、月経随伴症状の改善をもたらす。さらに、OC服用が運動パフォーマンスに悪影響を及ぼさないことも多く報告されており、今後も女性アスリートにおけるOC服用率が高まっていくと考えられる。アスリートが激しいトレーニングを行った場合、筋損傷や炎症が引き起こされることがあり、これを運動誘発性筋損傷(Exercise induced muscle damage; EIMD)という。EIMDに対した先行論文は、エストロゲンは筋を保護する効果がある可能性が報告されている。Thompson et al.のメタ分析によるとEIMDに対するCK(Creatine kinase)反応がOC非服用群と比較しOC服用群で高値を示した。これのことから、エストロゲンは筋損傷を抑制する作用をもつと考えられる。OCを服用する女性(以下OC群)11名と正常月経女性(黄体期,以下NOC群)12名を対象とし、多用途筋機能評価運動装置(Biodex system4)を用い,非利き腕上腕屈筋群の伸張性運動を実施した。その結果、OC服用は、伸張性運動後のCKを増加させるが、IL-6、CRPおよび筋損傷間接マーカーにおいては影響を及ぼさないことが示唆された。今後女性アスリートにおけるOC服用率は高まっていくと考えられており、OC服用が女性の筋損傷に与える影響が明らかになれば、女性アスリートでOC服用によるコンディション管理に寄与し、高パフォーマンス達成に貢献できると考える。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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