研究課題/領域番号 |
20K11323
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
安田 稔人 大阪医科薬科大学, 看護学部, 教授 (90351428)
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研究分担者 |
嶋 洋明 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (30625934)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アキレス腱断裂 / 腱延長 / 多血小板血漿 |
研究実績の概要 |
多血小板血漿(Platelet rich plasma;PRP)を用いる研究は再生医療の研究であるため、大阪大学認定再生医療等委員会の審査により研究は「適」との審査結果を得た。その後、近畿厚生局に審査、受理され、研究番号も決定した。本学の研究倫理委員会さらに本学の病院倫理委員会においても承認され、これから対象者を募集する予定である。本研究は手術の際にアキレス腱断裂の縫合部にPRPを注入し、その後早期運動療法(早期荷重や早期可動域訓練)を行うことにより、臨床成績が改善し、早期スポーツ復帰が可能になるかを調査する。本研究においては、特に重要な評価項目として、治療中、治療後のアキレス腱長をあげている。アキレス腱の腱長から腱延長を評価するためには、まずアキレス腱長の正常を知る必要がある。そのため、我々は当院で撮影したアキレス腱に異常のない100例の足関節MRIのアキレス腱の長さと形状を調査した。さらにアキレス腱長や形状に影響を与えている因子を調べた。その結果、腱長は平均42mmであり、腱長は身長と相関しないことがわかった。また健側の単純X線のKager三角の面積から腱長を算出できることを証明した(アキレス腱長=12.057+0.048×Kager fat padの面積)。これらの基準値はアキレス腱断裂治療のアキレス腱の腱長の目標値になると考える。本研究はPRP投与後のアキレス腱修復に与える影響を調査するため、臨床評価としてMRI所見が重要な客観的指標となる。治療後の臨床点数やスポーツ復帰状況に加えて、MRIでの腱長、腱厚、腱幅を調査することは重要である。さらに今回の腱長を、過去の研究論文の腱長と比較することで、過去の術式に対する本法の優位性を証明できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
PRPの研究は再生医療の研究であるため、大学での研究倫理委員会に申請後、大阪大学認定再生医療等委員会で妥当な研究との返事後に近畿厚生局での審査待ちであったが、PRPでの作成キットをクリーンベンチ内で行うようにとの指示があった。そのため、研究方法を変更し、再度、厚生局へ細胞培養加工施設の届出を行い、施設番号を付与され、大阪大学再生医療等委員会で審査後、厚生局に提出し、研究番号が付与された。これらの準備には時間を要したため、並行して、この研究の評価のためにアキレス腱の長さ、厚さ、幅の正常値を知る必要があると考え、その研究を行った。この研究結果は本研究のみならず、今後のアキレス腱研究の一つの指標になると考えている。これから対象者を募集する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られた研究の成果は、英語論文として、投稿、受理された(in press)。今後、直ちに本学において臨床研究を開始する予定である。今後早急に必要な機器(遠心分離機、クリーンベンチ、PRP作成キット)を購入し、対象者募集後、臨床研究を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
再生医療の審査に時間を要したため、研究が遅れ、次年度使用額が生じた。次年度は再生医療の研究を開始する予定であるため、それに必要な機器の購入および診療費に研究費を使用する予定である。
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