研究課題/領域番号 |
20K11326
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
羅 成圭 徳島大学, 教養教育院, 准教授 (60741999)
|
研究分担者 |
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
川中 健太郎 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (80339960)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 血糖 / 糖取り込み / 非活動筋 / TXNIP |
研究実績の概要 |
我々は骨格筋の糖取り込みを負に制御するチオレドキシン相互作用タンパク質(Thioredoxin-interacting protein: TXNIP)が、運動時に活動筋では減少し、対照的に非活動筋では増加するという現象を明らかにしてきた。運動によって局所的にTXNIP発現量が変化していることが示されたため、運動によって活性化する局所因子であるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)が骨格筋TXNIP発現量を制御している可能性を検証した。 Wistar系雄性ラットからヒラメ筋と滑車上筋を摘出し、これらの筋をAMPKの活性化剤であるAICARを含む緩衝液中で3時間インキュベーションした。インキュベーション終了後、それぞれの骨格筋のTXNIPタンパク質発現量を評価した。 3時間のインキュベーションによってヒラメ筋ならびに滑車上筋のTXNIPタンパク質発現量は有意に減少したものの、その効果は速筋線維優位筋である滑車上筋でより顕著であった(より低濃度のAICARでTXNIP発現量が低下した)。この結果から、運動時に活動筋においてTXNIP発現量が低下する分子機序にはAMPKの活性化が一部関与している可能性が示された。 今後は、運動後の非活動筋におけるTXNIP発現量の増加が糖取り込みを低下させる可能性を検証するために、異なる強度の運動を負荷し活動筋ならびに非活動筋の血糖再配分機構について検証を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は摘出筋を用いたex vivo実験系を用いてAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)が骨格筋TXNIP発現量に及ぼす影響を検証する予定であった。2021年度の研究結果から、AMPKの活性化が骨格筋TXNIP発現量を低下させる一つの分子機序である可能性が明らかになったため、進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究結果から、運動後の非活動筋でTXNIPタンパク質発現量が増加する時に、その筋の糖取り込みが低下しなかったことが示された。これは我々の仮説に反する結果であった。しかし、運動強度が高まると運動中の糖の利用が高まるため、より高い強度の運動を負荷した際には活動筋の糖取り込みがより高まる分、非活動筋の糖取り込みが相対的に低下する可能性がある。この点を明らかにするために、異なる運動強度や運動様式を負荷し活動筋ならびに非活動筋の血糖再配分機構について検証を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に従って支出をおこなったものの、参加した学会等がオンライン開催となった影響もあり旅費支出額が予定を下回ったため次年度使用額が生じた。次年度は学会等のオンサイト開催も予定されているため、次年度研究費(旅費)と合わせて使用する計画である。また生化学実験のための消耗品も多く必要になると予想されるため、その費用にも充当する予定である。
|