研究課題/領域番号 |
20K11347
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研究機関 | 健康科学大学 |
研究代表者 |
粕山 達也 健康科学大学, 健康科学部, 教授 (40631867)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動制御 / 障害予防 / 動作分析 |
研究実績の概要 |
不適切なカッティング動作による膝関節の力学的負荷は、前十字靭帯損傷の危険因子と考えられている。カッティング動作を行う際には、相手の動きを予測したり、相手の動きに合わせて反射的に方向を変えるなど、素早い認知判断が求められる。カッティング動作については、サイドステップ、クロスオーバーステップ、スプリットステップの3種類のパターンが知られているが、どの状況で3種類のパターンが発現されるかは明らかにされていない。実行している動作および身体状況と認知判断が求められるタイミングによって、動作パターンの発現に違いがあると考えられる。そこで、本研究では、認知課題に伴うカッティング動作の発現パターンについて検討した。 対象は健常大学生20名とした。運動課題は、全力で直線を走り、ランダムに指示された左右の方向へのカッティング動作とした。走路は助走距離5m、直線エリア3m、直線エリア終了から終点まで10m(カッティングエリア)とした。直線エリア通過後に画面上に表示された左右方向の指示に従うことを認知課題とした。カッティング動作は、左右それぞれ2回以上施行されるまで実施し、サイドステップ(SS)とクロスオーバーステップ(CS)に分類した。スプリットステップや判定が困難なパターンは解析から除外した。認知課題の有無によるパターン変化と個別のパターン特性について解析した。また、Cutting Movement Assement Scoreを用いて、カッティング動作時の障害類似パターンの出現状況を評価した。 結果では、認知課題無し条件では、SS:39.2%, CS60.8%であり、認知課題有り条件ではSS:62.8.%, CS37.2%であり、認知負荷が加わることでサイドステップの出現が増加した。左右方向の比較では、課題有りと無しの両条件ともSSとCSの出現率に違いはみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
認知運動制御に関する研究は進行できているが、拡張現実(AR)を利用した研究が難航している。AR技術を利用した仮想敵を用いたカッティング動作を予定していたが、走速度とARの反応速度に違いが生じるため、予想していた動作分析の実施ができず、研究に支障をきたしている。また、コロナ禍の影響で大学の実験施設が別用途で使用されていたため、十分な助走距離を確保できず、研究が行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
カッティング動作に関する認知運動制御の研究をすすめていく上で、予測的姿勢制御において新しい知見が得られている。実験が難航している拡張現実(AR)の内容を修正して、予測的姿勢制御に関する新しい実験計画に一部修正を加えて対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
AR技術を用いた仮想敵を想定したカッティング動作を検討していたが、開発の検討が遅れており、機器備品に関する支出が行えていない。また、多くの被験者を招集しての介入研究に制限があったため、人件費および謝金の支出がなく、次年度に持ち越しとなっている。必要備品を検討するとともに、必要な被験者数を確保して、適切な支出を行う予定である。
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