研究実績の概要 |
本研究は、骨に加わるメカニカルストレス(以下、MS)の低下により分泌され、骨形成を抑制する新規マーカーであるスクレロスチンに焦点を当て、運動特性との関連について検討することを目的としている。 MSが低い自転車競技選手(以下、CY, n=13)、MSが高いバレーボール選手(以下、VB, n=12)、およびMSが中程度の野球選手(以下、BB,n=16)を対象とした。血中骨代謝マーカー(スクレロスチン,BAP,OC,Tracp-5b,Ca等)、QUS法による踵骨の骨強度等を分析し、骨応答について検討した。 骨代謝マーカーにおいては一元配置分散分析を実施した。その結果、いずれにおいても有意な差はなかったが、BAPおよびCaにはグループで異なる傾向が見られた。なお、Elisa法によりスクレロスチンを分析したが、データの測定誤差が大きかったため、再測定することとした。骨強度においては、利き手側と非利き手側に分けて二元配置分散分析(グループ×利き手)を実施した。その結果、全てにおいて交互作用はなかった。SOSにおいてはグループの主効果が見られ(p<0.05)、CY群はVB群よりも有意に低く(p<0.01)、BB群よりも低い傾向が見られた。また、StiffnessおよびZ-scoreにおいてはグループで異なる傾向がみられた。一方、利き手の影響はなかった。 これまでの先行研究とは異なり、CY群の明らかな骨応答の低下はみられなかった。本研究のCY群においては、自転車の専門トレーニング以外に、ウェイトトレーニングや階段ダッシュ等を取り入れていることが関係していると考えられた。今後、スクレロスチンのとの関連を含め、より詳細に検討する必要があると考えられた。
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