研究実績の概要 |
本研究は男子大学生を対象に,下り坂および追い風を用いたアシステッドスプリントトレーニングによって超最大速度および最大加速度を体感させ,平地走時における最大疾走速度およびその動作に与える影響を検証するものである. そのオリジナリティとして,これまで明らかになっていなかったアシステッド・スプリントとしての下り坂および追い風条件下でのスプリントキネマティクスを明らかにした点が挙げられる.特筆すべきは下り坂におけるキネマティクスデータの測定,算出方法を確立した点,安定した追い風条件を整えるための屋内走路および各種扇風機を用いた実験環境の構築は高いオリジナリティを有していると自負している. また,得られたアウトカムとしては1.下り坂スプリントでは安全性の観点から3°以下の斜度が推奨されること.2.追い風スプリントは他のアシステッド・スプリントと比較して,唯一ピッチの増大を目的としたトレーニングとして活用できる可能性があること.3.6.0m/sという強い追い風においては,超最大速度でのスプリントに適応できる走者とそうでない走者が存在することなどが挙げられる. 最終年度となる2023年度は,上記結果をもとに下記原著論文を執筆した. K. Nakayama, K. Shoji, Y. Manabe. (2023) Effect of Downhill Declination on Sprint Kinematics. Int. J. Sport and Health Sci., 21: 64-73. 中山滉一,榎将太,牧野瑞輝,庄司一眞,眞鍋芳明(2023)異なる斜度の下り坂スプリントが平地スプリントに与える即時的な影響.陸上競技学会誌,21: 1-11. 現在は,追い風スプリントに関する研究論文を執筆中である.
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