• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

サルコペニアでのオートファジー機能不全の解明:Rubiconとアペリンに着目して

研究課題

研究課題/領域番号 20K11359
研究機関東京工業大学

研究代表者

佐久間 邦弘  東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (60291176)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードオートファジー / 骨格筋 / 加齢 / Rubicon / 筋萎縮
研究実績の概要

骨格筋は様々な因子により調節を受け、オートファジー機能不全によりサルコペニア (加齢性筋減弱症)が促進される可能性が高い (Sakuma K, et al., p62/SQSTM1 but not LC3 is accumulated in sarcopenia muscle of mice. Journal of Cachexia, Sarcopenia, and Muscle. 2016)。オートファジー機構を強力に阻害するものとして、最近注目を集めている物質がRubiconである (Nakamura S et al., Nature Commun 10: 847, 2019)。このRubiconはBeclin-1と結合する
ことで、ライソゾームとオートファゴソームの合体を阻止する可能性がある。若齢 (3ヶ月齢)と高齢 (24ヶ月齢)マウスの大腿四頭筋を用いた昨年度の蛍光免疫組織染色の実験において、加齢筋におけるRubiconの免疫活性亢進が認められた。加齢筋におけるRubiconの活性亢進の場所は、筋細胞の細胞膜や個々の筋細胞質ではなく、細胞内にパーティクル (小片)上に散在していた。今年度はWestern blot法により、Rubiconタンパク質のさらなる検証を行ったところ、加齢筋において有意な亢進が認められた。この有意なRubiconタンパク質の増加は、他の筋萎縮モデルである除神経においても確認された。また他のオートファジー関連物質であるアペリンについても、蛍光免疫組織染色を行ったところ、加齢筋におけるアペリン活性陽性細胞の割合が有意に減少していた。以上のことから、オートファジー機能を負に制御するRubiconタンパク質の亢進、その機能を正に制御するアペリンタンパク質の減少により、サルコペニアにおけるオートファジー機能不全がもたらされる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

加齢筋におけるオートファジー関連物質 (Beclin-1とRubicon)の変化について、蛍光免疫組織染色およびWestern blot法での検証が完了した。また加齢と同様な筋萎縮モデル (除神経)におけるRubiconの変化についても、両方の方法で検証を行った。もう1つのオートファジー関連物質であるアペリンについても、蛍光免疫組織染色での検証が完了した。

今後の研究の推進方策

加齢筋におけるオートファジー関連物質 (Beclin-1とRubicon)の変化について、蛍光免疫組織染色およびWestern blot法での検証が完了した。しかしながら加齢筋において、これらの物質同士が本当に結合することで機能不全に働いているかはわからない。したがって今年度は、加齢筋におけるBeclin-1とRubiconの結合量について免疫沈降法 (immunoprecipitation)を用いた検証を実施する予定である。もう1つのオートファジー関連物質であるアペリンについても、蛍光免疫組織染色での検証が完了したものの、WEstern blot法による検証が残っている。今年度はそれについても実施予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響で特にお金がかかるmRNAの定量的解析ができなかった。また研究成果の公表に使用予定だった約40万円の論文別刷代金も、オンライン論文の正式掲載がずれ込み、昨年度使用できなかった。これらのことから次年度に使用する額が増加した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 筋肉の異化と同化2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間邦弘
    • 雑誌名

      腎と透析

      巻: 90 ページ: 229-233

  • [雑誌論文] Editorial: Frailty and Sarcopenia in Various Cachectic Kidney Diseases2021

    • 著者名/発表者名
      Morishita Y, Sakuma K, Chia-Ter Chao
    • 雑誌名

      Frontiers in Medicine

      巻: 7 ページ: 627485

    • DOI

      10.3389/fmed.2020.627485

    • 査読あり
  • [学会発表] 基礎研究者として評価を高めるために2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間邦弘
    • 学会等名
      第28回日本運動生理学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「骨格筋-QualityとQuantity・インスリン抵抗性からサルコペニアまで」骨格筋の質的可塑性を調節する分子メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間邦弘
    • 学会等名
      第64回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] サルコペニアの発症原因としてのオートファジー機能不全2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間邦弘
    • 学会等名
      第63回日本老年医学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 『抗加齢医学の新たな提唱2021: メタボ健診からフレイル健診へ ~PPK(ピンピンキラリ)を目指して~』オートファジー機能とサルコペニア予防-栄養の観点から-2021

    • 著者名/発表者名
      佐久間邦弘
    • 学会等名
      第21回抗加齢医学会総会
    • 招待講演
  • [図書] Muscle Cell and Tissue - Novel Molecular Targets and Current Advances2021

    • 著者名/発表者名
      Kunihiro Sakuma
    • 総ページ数
      130
    • 出版者
      InTech Open
    • ISBN
      978-1-83968-651-1
  • [図書] Sarcopenia : Molecular Mechanism and Treatment Strategies2021

    • 著者名/発表者名
      Kunihiro Sakuma
    • 総ページ数
      329
    • 出版者
      ELSEVIER
    • ISBN
      9780128221464

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi