研究課題/領域番号 |
20K11361
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
三浦 哉 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (10274193)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電気刺激 / 運動プログラム / 高血圧症 / 動脈機能 |
研究実績の概要 |
本研究は,高血圧症を予防するために動脈機能の改善に適した運動と骨格筋への電気刺激 (EMS) との併用システムを構築し,自発的運動の困難者を想定し,運動と活動肢へのEMSの併用による動脈機能の変化,運動とEMSの併用による定期的な運動介入が動脈機能に及ぼす影響を明らかにすることが目的である. 2020年度は,骨格筋電気刺激システムを構築するために,骨格筋電気刺激の刺激部位の違い (下肢全体,大腿部,下腿部) ,電気刺激周波数の違い (4/20Hz),刺激強度の違い (最大耐性/最大耐性の50%) が動脈機能に及ぼす影響を健常成人10名を対象に検討した.その結果,20Hzと比較して4Hzの周波帯域,最大耐性の50%の刺激強度と比較して最大耐性強度で,また,下腿部/大腿部と比較して,下肢全体に電気刺激を加えることが,酸素摂取量,大腿血流量の著しい増加および動脈スティフネスの低下につながることが明らかになった. 次に,健常成人男性10名を対象に一過性の運動とEMSとの併用が動脈機能に及ぼす影響を検討した.運動条件は,①最大酸素摂取量 (VO2max) の50%強度の自転車こぎ条件 (C条件),②最大耐性の下肢へのEMSと低強度での自転車こぎ運動を併用して運動強度が50%VO2maxになる条件 (C+EMS条件),③C+EMS条件からEMSを加えない低強度自転車こぎ条件 (LC条件) とした.各条件前後に上腕動脈の血管内皮機能(FMD),大腿動脈血流量などを測定したところ,LC条件と比較して,CおよびC+EMS条件では,血流量およびFMDの増加が著しく,低強度の自転車こぎ運動に下肢へのEMSを併用することで,低強度運動時よりもFMDが増加し,低体力者,下肢の運動困難者に対して,循環器疾患を予防するための新たな運動プログラムの可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた「骨格筋電気刺激システムの構築」ができたこと,さらに今年度と次年度にかけて実施予定の「一過性の運動とEMSとの併用が動脈機能に及ぼす影響の検討」に関して,健常成人を対象とした測定が完了し,次年度以降に予定されている低体力者の測定および介入研究の準備が整ったため.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に実施した研究の一部を国内学会にて発表予定である.また,低体力者高齢者を対象に一過性の運動とEMSとの併用が動脈機能に及ぼす影響について検討する予定である.一方,COVID-19の影響で国際学会発表がオンライン会議になる関係で,当初予算化していた旅費の一部を謝金等に充て,2022年度に予定している「運動とEMSとの併用トレーニングが動脈機能・身体機能に及ぼす影響」についての測定の一部を前倒しで実施することも検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年3月納品,2021年4月支払いのため66340円の次年度使用が生じた.
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