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2020 年度 実施状況報告書

完全主義パーソナリティの臨床スポーツ心理学的検討と心理教育プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K11366
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

小堀 修  国際医療福祉大学, 大学院, 准教授 (40436598)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードアスリート / 完全主義 / ストレス対処
研究実績の概要

ケガはアスリートのパフォーマンスを低めたり、練習や試合への参加を妨げたりするため、アスリートにとって脅威的な状況である。2020年度の目的として、研究1では、ネガティブな完全主義者ほど、「ケガからの回復を促進するような」対処行動ではなく、「ケガをしてしまった自分について考え込む」対処行動をしてしまうかを検証するための調査をした。
調査会社を通じて301名のプロアスリート、社会人アスリート、学生アスリートをリクルートした。測定した尺度としては、(1) 多次元完全主義尺度 (大谷・桜井, 1995)、(2) Coping With Health Injuries and Problems Scale (Endler et al, 1998) の質問紙を実施した。Coping With Health Injuries and Problems Scaleは、次の4つの次元で構成される: a) 痛みを減らすなど緩和的対処、b) 別のことに目をむけるなど気そらし、c) 病気やケガについて情報収集する道具的対処、d) 病気やケガに伴って生じる感情に焦点を当てる感情的没入、の4つである。
その結果、多次元完全主義尺度のうち、自己志向的完全主義も、社会規定的完全主義も、病気やケガに伴って生じる感情に焦点を当てる感情的没入と正の相関を持った。一方で、自己志向的完全主義のみ、他の緩和的対処、気そらし、道具的対処とも正の相関を持った。完全主義者がケガをしたり病気になったときは、ケガに伴うネガティブな感情に焦点を当ててしまうと同時に、一部の完全主義者は、さまざまな対処を試みることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本プロジェクトは、3年に渡り、完全主義とパフォーマンス、メンタヘルスとの関連を精緻化するため、本研究では、アスリートに特有のストレス状況で、完全主義がどのような影響を及ぼすか検証する。具体的には、研究1で完全主義的なアスリートはケガにどのように対処するのかを検証し、研究2では、完全主義的なアスリートはミスや失敗を頭の中で何度も振り返るかを検証し、研究3ではアスリートのネガティブな完全主義を減らす心理教育プログラムの開発3つの研究を実施する計画であった。1年目が終わり、研究1が終了し、その成果を査読付き論文として投稿しているため、概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

2021年度は、完全主義的なアスリートはミスや失敗を頭の中で何度も振り返るかを検証する。過去の社交状況やパフォーマンス状況を頭のなかで何度も丁寧に振り返ると、ネガティブな記憶ばかりを想起してしまい、社交不安が維持される。ネガティブな完全主義を持つアスリートも、ミスや失敗を頭のなかで何度も振り返るのか、また、その「反すう」によってメンタルヘルスが悪化したり、パフォーマンスが低下するかを調査する。
2022年度は、アスリートのネガティブな完全主義を減らす心理教育プログラムの開発を試みる。研究1と2の結果、特に完全主義的なアスリートが不適切にケガや病気に対処したり、自らのパフォーマンスを一人で振り返ることと、完全主義への認知行動療法を応用して、ネガティブな完全主義の影響を予防するための心理教育プログラムを開発する。また、プログラムの効果について予備的な検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

残額は学会誌投稿料のある雑誌で研究成果を発表する場合などに使用していく。

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公開日: 2021-12-27  

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