研究課題/領域番号 |
20K11368
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小林 琢也 順天堂大学, 医学部, 助教 (60468585)
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研究分担者 |
茅 元司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00422098)
渡邊 大輝 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 助教 (30823281)
呉林 なごみ 順天堂大学, 医学部, 客員准教授 (50133335)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋収縮 / 微小管 / 粘弾性 / イメージング |
研究実績の概要 |
前々年度に行った筋収縮力と筋イメージングの同時計測のための装置開発および改良により、前年度は筋の粘性を計測する事、および微小管のライブイメージングを行うことに成功した。これまでは粘弾性計測において、粘性と弾性の分離計測が不十分であったが、高性能のステッピングモーターを搭載することで、粘性計測を安定的に行うことが可能となった。また、筋組織の自家蛍光が高いために、微小管のライブイメージングが十分に行えなかったが、蛍光標識試薬および蛍光像取得用カメラを変更したところ、鮮明な微小管像を得ることができた。微小管脱重合薬であるコルヒチンを添加したところ、完全強縮の形成効率の低下や、バリエーションのある収縮が見られなくなることが見いだされた。また、ステッピングモーター搭載により、高精度で再現性の高い伸展歪みを与えられるようになったため、これを用いたところ、過度な伸展歪みを与えると微小管脱重合時と同様の収縮変調が起きることが見られてきた。これは筋繊維の構造安定性や粘弾性に微小管が関与しており、伸展歪みにより微小管の分布が変化するのではないかという事を示唆していると考えられる。これは本研究課題の主要なテーマである微小管と筋収縮との関係を明らかにする極めて重要な発見である。本年度はこれを確たるものとするために、再現実験を行う。前年度までに、手動による伸展歪みを与えながらライブイメージングを行うことには成功しており、伸展歪みとサルコメア長の関係を示すデータは取得できた。しかしながら、ステッピングモーターによる振動ノイズを避けるため、同モーターはステージ外に設置しており、同時イメージングに支障が出ている。本年度は顕微鏡部分に可動性を持たせることで、高精度、高再現性の伸展歪みと微小管ライブイメージングの同時計測を行うことで、先に述べた重要な発見を確たるものとしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の技術的目標である、収縮力とライブイメージングの同時計測についてはおおむね成功している。しかしながら、再現性のある伸展歪み形成のためのステッピングモーターとの関係から、顕微鏡部分の可動性を確保する必要が出た。各実験の再現性は良い。各実験間の整合性を確保するための補完的実験はまだ不十分である。以上からおおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究から、収縮力とライブイメージングのそれぞれの結果から、収縮力と微小管との関係が理解でき始めている。これは同時計測によってさらに強化されるものと考えられる。現時点では静的な状態での同時計測は可能だが、伸展歪み付与時にこれを行う事は成功していない。本年度はこれを可能とするための改良を行う。また、個々の結果を統合し、全体の整合性を確保できるように、補完的な実験も企図している。本年度は論文の執筆に向け、これらを行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍等により、物資の供給に問題が生じ、物品の購入が前年度にできなかったものがあった。また、学会出張を教務のために取り辞めたため。
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