• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

筋構造ー収縮力相関における微小管の役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K11368
研究機関順天堂大学

研究代表者

小林 琢也  順天堂大学, 医学部, 助教 (60468585)

研究分担者 茅 元司  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00422098)
渡邊 大輝  広島大学, 人間社会科学研究科(総), 助教 (30823281)
呉林 なごみ  順天堂大学, 医学部, 客員准教授 (50133335)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード骨格筋 / 微小管 / 粘弾性 / イメージング
研究実績の概要

令和2年度に行った筋収縮力と筋イメージングの同時計測のための装置開発および改良により、令和3年度は筋の粘性を計測する事、および微小管のライブイメージングを行う事に成功した。これは高性能のステッピングモーターを搭載する事により、粘性と弾性の分離計測の安定性が向上したためである。さらにイメージングに関しては、筋組織の自家蛍光の低減や短波長の励起光による筋組織の変性を避けるための励起光源と蛍光染色試薬の変更が成功に結び付いた。これらを用いて微小管脱重合薬であるコルヒチンの効果を、筋収縮、筋弾性および筋粘性の計測から明らかにするための実験を行った。令和3年度末の時点では完全強縮の形成効率の低下、粘性および弾性が変化する事が見出された。これらの再現実験による詳細な粘性係数および弾性係数の計測、およびステッピングモーター設置により支障を生じたイメージングシステムの改良が令和4年度に必要とされることであった。本年度は詳細な計測を継続したことで、コルヒチンが収縮張力および粘性係数を低下させる事が明らかになった。さらにイメージング装置の大幅な改造により、ステッピングモーターによる筋伸展装置に拮抗しない同時イメージングシステムを構築する事にも成功した。また本装置を用いて行った計測から得られた粘弾性係数を用いた筋の力学モデル構築を試みた。力学モデルによるシミュレーションは変形時の力変化曲線を非常によく再現する事が出来たため、計測された粘弾性係数の数値はおおむね合理性のある範囲内にあるだろうと考えられた。しかしながら完全な一致は見られておらず、その点から非線形な粘弾性要素が存在している可能性が示唆された。今後は非線形要素の計測と筋の内部構造と各粘弾性要素との対応関係を明らかにしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の技術的目標である収縮力とライブイメージングの同時計測についてはおおむね成功している。また、再現性のある伸展歪み形成のためのステッピングモーターを搭載したために生じたイメージング装置の不具合を解消する改造にも成功した。しかしながら装置改良に思いのほか時間がかかったため、同時計測の例数がまだ十分には確保されていない。以上からおおむね順調であると考えられる。

今後の研究の推進方策

これまでの結果から筋の粘弾性係数の算出、コルヒチンによる収縮力と粘弾性に対する効果の定量が完成に近づいている。またこれらを用いた筋の力学モデル構築の試みを行った。これらから、粘弾性係数の数値的合理性はおおむねあるものと考えられた。しかしながら力学モデルによるシミュレーションの結果は変形時の力変化曲線と完全に一致するものでは無かった。この結果から、伸展中に非線形に変化する粘弾性要素があるのではないかと推測された。そこで、計測時の初期変形率等を変化させた粘性計測による非線形要素の抽出、また変形中の筋内部の微小管や他の細胞内小器官のリアルタイムイメージングにより、力学モデルにおける粘弾性要素と筋の内部構造との対応関係の解明を今後の予定とする。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍やウクライナ戦争等により、物資の供給に問題が生じ、物品の購入が前年度にできなかったものがあった。筋の圧迫による変形の影響を見るため圧迫変形装置を製作中であり、この製作に必要な物資の次年度購入を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Novel Calmodulin Variant p.E46K Associated With Severe Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia Produces Robust Arrhythmogenicity in Human Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Cardiomyocytes.2023

    • 著者名/発表者名
      Gao J, Makiyama T, Yamamoto Y, Kobayashi T, Aoki H, Maurissen TL, Wuriyanghai Y, Kashiwa A, Imamura T, Aizawa T, Huang H, Kohjitani H, Nishikawa M, Chonabayashi K, Fukuyama M, Manabe H, Nakau K, Wada T, Kato K, Toyoda F, Yoshida Y, Makita N, Woltjen K, Ohno S, Kurebayashi N, Murayama T, Sakurai T, Horie M, Kimura T.
    • 雑誌名

      Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology

      巻: 16 ページ: -

    • DOI

      10.1161/CIRCEP.122.011387

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 微小管脱重合薬により骨格筋の粘弾性は変化する2022

    • 著者名/発表者名
      小林 琢也, 村山 尚, 呉林 なごみ
    • 学会等名
      第60回日本生物物理学会年会
  • [学会発表] 発熱する骨格筋、イオンチャネルの暴走2022

    • 著者名/発表者名
      小林琢也
    • 学会等名
      第11回分子モーター討論会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi