研究課題/領域番号 |
20K11379
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
田中 美吏 武庫川女子大学, 健康・スポーツ科学部, 准教授 (70548445)
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研究分担者 |
佐々木 丈予 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (40772554) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 意思決定 / リスクテイク・リスク回避 / 信号検出理論 / キネマティクス / プレッシャー |
研究実績の概要 |
2020年度は、プレッシャー下でのパフォーマンスについて「意思決定」を含めた包括的理解を図る研究目的に対する1年目に該当した。研究実施計画の予定通り、2020年度は野球のバッティング課題を用いて、ストライクコースを振る・振らない、ボールコースを振る・振らないの意思決定を含む打撃パフォーマンスにプレッシャーが及ぼす影響を明らかにする実験1と、ダーツ投げ課題を用いてプレッシャー下でのリスクテイクとリスク回避の意思決定の特徴を明らかにする実験2に取り組んだ。 実験1では女子野球選手16名を対象とし、非プレッシャー条件とプレッシャー条件で各15試行の打撃課題を実施させた。実験2ではダーツ課題に不慣れな20名を対象とし、非プレッシャー条件とプレッシャー条件で各20試行のエイミング課題を実施させた。そして、非プレッシャー条件とプレッシャー条件での意思決定の精度(最適解な意思決定を選択及び実行する度合い)とバイアス(リスクテイクとリスク回避の意思決定の度合い)について信号検出理論を用いて算出したが、これらの指標に条件間の差は認められなかった。実験1では、バッティング課題中のバット運動の様々なキネマティクス指標も記録したところ、これらに関してはいくつかの指標において条件間の差が認められた。 プレッシャー下での運動課題のパフォーマンスの向上や低下には、「意思決定」の認知系と「キネマティクス」の運動系の変化が関与するが、実験1や実験2の結果や、これまでの関連研究で得られている成果を総合的に捉えると、プレッシャー下でのパフォーマンスは「キネマティクス」を中心とした運動系の変化に大きく依存する可能性が提案できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の年次計画は、調査1と実験1の計画と実施を行い、実験2の計画を行うことであった。実験1に関しては予定通り、計画および実施を完了するに至った。調査1の実施に遅延が生じたため、2021年度に予定していた実験2の実施を前倒しで行った。以上より、3年計画の1年目として当初予定していた研究の量を満たすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の2年目となる2021年度は、2020年度に終えた実験1と実験2について国内及び国際学会で発表していくための準備を行う。合わせて国内外の学術誌に投稿していくための準備も並行して行う。さらに、2020年度に実施を保留していた調査1の計画と実施を行い、当初の予定通り実験3の準備にも取り掛かっていく。研究分担者も交えて調査1と実験3の計画を基に、研究計画書を作成し、先ずは調査1と実験3の実施に関する倫理審査をパスする。その後に、調査および実験に取り掛かっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に研究分担者に研究費50万円を分配する予定であったが、2021年度に分配する計画に変更になった。また、国内外の学会に参加するための旅費も予算として計上していたが、オンラインでの開催に変更になったため、移動費や宿泊費を使用せずに済んだ。2021年度以降の学会参加費、それに伴う旅費、論文投稿のための諸費用、調査1と実験3の遂行のための諸費用に有効に充てていく。
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