研究課題/領域番号 |
20K11383
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
齊藤 直 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (20454770)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血中乳酸濃度 / 血糖値 / エネルギー代謝 / 漸増負荷運動 / 漸減負荷運動 |
研究実績の概要 |
本研究では、漸増負荷運動と漸減負荷運動という2種類の異なる運動プロトコルの運動負荷試験において、血中乳酸濃度、血糖値、呼吸代謝、活動筋ヘモグロビン濃度変化、及び心拍数を測定し、エネルギー代謝や呼吸循環系パラメータの動態にどのような違いが生じるかを明らかにすること、さらに、その後に持久走を実施した時、持久走運動時及び運動後におけるエネルギー代謝や呼吸循環系の機能にどのような影響が現れるかを明らかにすることを目的としている。 2020年度は、ジョギングレベルから血中乳酸濃度が7 mmol/L程度になるレベルまで、速度を徐々に上げながら各3分間、5セットのトレッドミル走行を行なう漸増セット走試験と、漸増セット走における速度の順序を全く逆にした漸減セット走試験を、被験者2人に対して実施した。コロナ禍の影響で被験者を多く集めることができなかったため、被験者1人に対する試験回数を増やした。その結果、多被験者による一般的なデータ解析はできなかったが、個人差によるデータの鈍化を減少させたデータ解析を実施できた。 2020年度実施した実験の結果より、急激な高強度運動の実施は血中乳酸濃度を大きく上昇させるとともに、暫くの間血糖値を上昇させる可能性があることが分かった。また、大きく上昇した血中乳酸濃度は数分間高値を維持する可能性も示された。また、漸減負荷運動時には、初めの高強度運動時は乳酸性エネルギー代謝の関与が大きいものの、それ以降は、漸増負荷運動の同負荷運動時と比較して、有酸素性エネルギー代謝の関与が大きい可能性があることも明らかとなった。これらの結果は、運動生理学的知見として学術的に貢献するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では被験者を主に学生ボランティアで募っているが、2020年度はコロナ禍の状況下、学生の大学構内入構制限があったり、呼吸を測定する実験であることから実験への参加に対して積極的になれない方がいたりと、被験者を集めることに苦労した。その結果、当初、初年度は最低6名程度の実験データ取得を見込んでいたものの、全ての運動負荷試験を完了して全データを取得できた被験者は2名のみとなった。 また、コロナ禍のため実験開始時期が遅れたこと、及びオンライン発表を避けて対面での研究発表を目指したことより、2020年度は研究発表も実施せずに終わってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度において、被験者は予定よりも少なくなってしまったものの、実験そのものは問題が生じることなく順調に実施できた。2021年度は、被験者の募集にも更に注力し、2020年度の分も含めてデータ数を揃えるよう努力する。 また、当初予定していた通り、2020年度に実施した実験プロトコルに持久走を加えた運動負荷試験に入ることを目標としている。 更に、2021年度は、対面、オンラインに拘らずに学会において研究発表を行なうとともに、学術論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため実験開始時期が遅れたこと、被験者数が予定人数に達しなかったことより、次年度使用額が生じた。さらに、コロナ禍のために出張も制限され、学会大会への参加がなかったことも次年度使用額が生じた理由である。これらは、翌年度分として請求した助成金と合わせて、当初予定していた実験データを取得すべく、2020年度に実施できなかった実験と2021年度に予定している実験において使用するとともに、積極的な学会での研究発表及び論文投稿に使用する予定である。
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